市立北下浦小学校(黒岩弘明校長)で、2014年3月24日に「アートカード」を用いた図工の授業が行われた。このカードは、鑑賞教育の教材として、横須賀美術館と横須賀市造形教育研究会が共同で作成。文化庁が実施する「地域と協働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業」として取り組んでいる。同美術館所蔵品(約4500点)のうち、ジャンルや年代、表現方法の異なる64点を約15cm×10cmのカード状に仕立てている。持ち運びができるので、美術館ではない場所でも作品鑑賞を楽しめるというメリットもある。
想像する感性を育む
カードの使用方法は10通り以上。今年度は、試行事業として市内の3校でカードを用いた授業を行っている。今回は、5年1組の32人を対象に実施。様子や動作・感情を音で表す「オノマトペ」と組み合わせて”感覚を楽しむ”授業を行った。児童たちは、「きらきら」「どきっ」「ひそひそ」などといったオノマトペから想像できる形・色・イメージに合ったアートカードを、一人ずつ選んで見せ合った。
同じ擬音でも、選ぶカードが異なることを挙げ、「人それぞれ感覚が違うことを理解し、互いを認め合うことにつながれば」と黒岩校長。さらにこうした経験をもとに、「本物を見る機会を楽しんでほしい」と話す。授業を終えて児童からは「ひとつのカードからいろんな言葉の表現が出てきて面白かった」「美術館で作品を見てみたいと思った」と、さまざまな感想が上がっていた。
アートカードの取り組みは国内でも広がっており、国立美術館などでもワークショップが行われている。横須賀市では来年度から、市内の小中学校に「アートカード」の一式を配布する予定。小学校では毎年、6年生が横須賀美術館で鑑賞授業を行っており、その事前授業としてアートカードを活用してもらいたいとしている。