多摩中央公園の一角に柵で囲われた一本の若い木がある。広島市から寄贈された被爆2世のアオギリの木だ。
多摩市では2011年に「非核平和都市宣言」を行い、二度と戦争の災禍が人々を不幸にしないよう戦争の記憶を次世代へ受け継ぎ、伝えることを目的に2013年から「子ども被爆地派遣事業」に取り組んでいる。
市では、戦後70年を迎えた2015年11月1日、広島市から寄贈されたアオギリの木の苗を同公園に植樹。このアオギリは、爆心地近くにあった広島逓信局の中庭で熱線と爆風にさらされながらも生き抜いた木の種から育てられたものだ。
植樹直後は、保護のために一度業者のもとで育てられたが、翌年3月に元の場所に戻された。現在は人をはるかに超えるまで成長している。市では「平和のシンボルツリーとして、見守り、思いをはせていただければ」と話している。