学問の神「菅原道真公」。道真公を祀る神社は受験の祈願所として知られるが、八王子市初沢町にも「日本一」巨大な道真公像が鎮座している。「菅公(かんこう)さん」と親しまれる像で、その信仰にあやかり地域を盛り上げようとする取り組みが、高尾駅すぐの高尾名店街で行われている。
合格鉛筆や合格ティッシュ、福飴も
高尾駅南口、道真公像のもっとも近くにある商店街「高尾名店街」では、年明けから合格鉛筆や合格ティッシュ、福飴を各店舗で配布している。同商店街の安田邦雄理事長(57)は、「生徒にあげる塾経営者の方や『孫が合格した』と報告してくれるお客さんもいる」と笑顔で語る。
菅原道真公像は、高さ4・8メートル、重さ6000キログラム。その大きさは「日本一」とも言われている。初沢町出身の安田理事長は「小さい頃はよく山で遊んでいたが、菅公さんの像は、学問の神様としてあまり意識していなかったかも」という。
地域活性化を
発案者である同商店街の中本康之さん(62)は、出身は市外。中本さんが道真公像の存在を知り、「日本一と言われる大きさを誇りながら地元ではあまり知られていない。管公さんを発信することで、商店街や地域活性につながらないか」と考えたという。
商店会員らと話しあい、2016年から道真公像をテーマにした取り組みを進めてきた。3年程前には道真公をモデルにした同商店街のマスコットキャラクター「かんこうさん」を制作。着ぐるみを作り、いちょう祭りや地域の敬老会、幼稚園の行事に参加するなど知名度を上げている。中本さんは「少しづつ浸透してきていると感じる。『かんこうさん』を通じて、高尾の菅公様のことをもっと知ってもらえれば」と話す。
道真公像の前に鳥居と絵馬を設置
受験が本格化する1月中旬には、道真公像の前に鳥居と絵馬を設置する予定。安田理事長は「コロナ禍で受験生は本当に大変だと思うけど、管公さんがついています。頑張ってほしい」とエールを送った。
菅原道真公像は「高尾みころも霊堂」(初沢町)の隣にある山の上に1936年に設置された。日本橋にある「麒麟と獅子」で著名な彫刻家、渡辺長男氏が制作した。