開山は約600年前
横浜市西区西戸部町3丁目の古刹・法亀山知福院願成寺(高野山真言宗)。門前の藤棚一番街商店街で毎年6月、7月、8月の4日・14日・24日に行われる日限地蔵尊縁日は、地域で親しまれる夏の風物詩です。
約600年前に元祐法師により開山されたといわれています。本尊は秘仏の延命地蔵尊。寺伝によれば、その昔、行基菩薩がこの地で喉の渇きをおぼえたところ、一匹の亀に導かれ、清水で渇きをいやしたそうです。そこでここを法亀山と号したとされています。
境内墓地には近世戸部村を代表する旧家の墓が数多くあります。また元治元年(1864)に外国人を殺傷(鎌倉事件)して戸部刑場で処刑された清水清次と間宮一、慶応2年(1866)にフランス水兵を殺害した鳶の小亀の墓があります。
境内には、横浜市の「名木古木」に指定されたイチョウ2本とタイサンボク1本があり、手入れが行き届いた寺庭が広がります。本堂をはじめ庫裡は、戦災をまぬがれた築100年超の木造です。
火災をまぬがれたご本尊
本尊の延命地蔵尊は、関東大震災による火災で本堂が燃えるも奇跡的に火をまぬがれたといいます。そして本尊が安置されている厨子は、以降、一度も開帳されたことがありませんでした。そして2016年、現在の住職・楠雅翔さんのもと、法要を執り行いご開帳。そこにはしっかりと本尊が安置されていました。
- 修復を経て現在は、毎年元日から1月4日まで、また縁日が開かれる6月、7月、8月の24日に開帳され、本尊を拝むことができます。
毎月24日は〝護摩祈願″
日限地蔵尊が祀られている山門手前の地蔵堂では、毎月24日に護摩祈願が執り行われています。夜店が並ぶ6月、7月、8月は夜に護摩を炎にくべます。
- 同寺では健康増進や受験合格、結婚成就など様々な願い事を受け付けています(有償)。
園児の声が境内に響く
願成寺の境内には「ばらの幼稚園」も。子どもたちの声が境内に響きわたるのも日常の風景です。
同幼稚園は心の教育を中心に据え、考え創造する子どもたちを目指して出発しました。「丈夫な体」「やさしい心」「豊かな創造力」の三つを教育理念として、その為の楽しい環境を準備しています。楠邦江園長は幼児期に育てたいものは、「将来の大きな木を支える小さくてもしっかりとした根っこです」と話します。
裏山には墓地が広がる
古刹・願成寺の裏山には墓地が広がります。また永代供養墓もあり、同寺は「新墓地をお求めの方はご相談ください」と話している。