戦火生き延び幹黒く
東神奈川駅そばにある熊野神社で、「戦災樹木」のイチョウが色づく時を待っている。
境内の裏手からすらりと伸びたイチョウの木は、樹齢400年といわれる古木。慶応4(1868)年の神奈川宿大火や横浜大空襲(1945年)で火災に見舞われながらも朽ちることなく、毎年銀杏を実らせて冬には葉を黄金色に染める。その由緒から「火防(ひぶせ)のイチョウ」と呼ばれ、地域住民に親しまれているという。
激しい炎に包まれたことを物語るように木の幹は大きく裂け、黒く焼け焦げた跡が生々しく残る。同神社の宮司は「隣にマンションが建設されたときには地中の根も切られ、大きな影響を受けたはずなのに」と、その生命力に驚く。
例年12月中旬から下旬に紅葉を迎えるといい、「火災を乗り越えて力強く生き続けるその姿を、多くの人に見てもらえたら」と宮司は話している。
熊野神社▽神奈川区東神奈川1の1の3