今夏に開設される市内3海水浴場(片瀬西浜・鵠沼、片瀬東浜、辻堂)を巡り、藤沢市夏期海岸対策協議会(会長・鈴木恒夫市長)は25日、医療体制の状況などを加味した独自の運営基準を導入することを決めた。病床使用率など4項目を点数化し、合計点に応じた対応方針を明示。新型コロナの感染リスクを踏まえ、緊急事態宣言発令時は県からの休場要請がなくても、一定の点数を超えれば休場に踏み切る。
「宣言」発令で適用へ
項目は、▽県の指標に基づく重症病床使用率▽県がモニタリングする病床確保フェーズ▽市内の新規感染者数▽市内患者の重症者率―の4つ。各項目を4段階に分けて点数化し、合計した総合点(最大130点)に応じた対応を盛り込んだ。
60点以上で「医療ひっ迫の前兆」と位置づけ、閉鎖や休場に向けた検討を開始。80点以上は人流抑制の可能性があり、「休場準備」として翌日から起算して4日以内に休場する。100点以上は「即時休場」とし、翌日に休場する。
適用はいずれも緊急事態宣言の発令期間のみ。宣言解除後は休場を解除でき、まん延防止等重点措置は適用しない。
昨夏の経験糧に
導入の背景には、行政と海の家を運営する組合双方にとっての苦い経験がある。昨夏は2年ぶりに海水浴場が開設されたが、期間中に新型コロナ感染症が拡大。酒類の提供停止や営業時間の短縮を経て、途中休場を余儀なくされた。
片瀬西浜・鵠沼海水浴場はかつて「日本一の来場者数」を誇り、3海水浴場を合わせると50軒近く海の家が並ぶ。近隣自治体とは異なり組合が開設者のため、事業者間の合意に時間を要した。次々に県内の海水浴場が休場する中、結果的に最後に休場することになり、市には数百件の苦情が寄せられたという。
運営基準は事業者が途中休場を見越した局面を共有し、緊急事態宣言が発令された際、速やかに対応する狙いがある。また市は日ごとの点数を市観光公式ホームページに掲示。市民にも現況を知らせ、対応の透明性を担保したい考え。
海の安心安全へ
この日の市夏期海岸対策協議会では今夏に向け、県のガイドラインとともに運営基準の遵守などを確認。総会後、江の島海水浴場協同組合の森井裕幸理事長は「あらかじめ基準が示されていれば組合員の理解が得やすく、対応が早くなる」と基準に合意した理由を説明。鈴木恒夫市長は「皆さんと一丸となって安心安全な海水浴場を目指していく」と述べた。
海水浴場の休場判断を巡っては先月25日、3組合の理事長が市役所を訪れ、基準を明確化するよう鈴木市長に要望書を提出していた。