大切な遺品や長年使っている家具、劣化がひどいけれど愛着があって物置にしまったまま…。自宅や実家にそんな家具はありませんか?古いものを捨てて新しいものを買うのは簡単ですが、自然環境への配慮はもちろん、アンティークや調度品、両親が愛用していたものなど、お金を出しても二度と手に入らないものも多いはず。
修理をしながら長く大切に使ってもらえたらー。
全国各地から依頼が寄せられる家具や美術品の修理・復元を通して、SDGsの課題解決に取りくんでいる㈱アレックス=本社・横浜市都筑区=を取材してきました。
<目次>
◎すべて自社一括で対応。卓越した技術を持つ職人たち
○イスの修復 ○テーブルの修復 ○住宅の補修 ○陶器の修復
◎若手や女性の職人の積極的な採用
◎リペアスクール随時開講
◎思い出まで復活!リメイク家具も得意
◎サステナブルな製品も
◎全てがSDGsにつながっていた
◎ビフォーアフター、全部見せます!
すべて自社一括で対応。卓越した技術を持つ職人たち
同社の作業工場には、大工や椅子張り、塗装、縫製など40人近くもの職人が社員として働いています。通常、専門分野以外は外注に出す会社が多いなか、修理から補修、リメイクなどの造作まで一括で行えるメリットは大きいといい、細貝社長は「内製化を図ることで、修理のスピードや品質管理など、お客様の想いにお応えするきめ細やかな対応が可能になっています」と説明してくれました。
イスの修復
イスは塗装や座面の張替えだけでなく、クッション性を高めた座り心地や耐久性アップ、高さ変更など、見た目も使い勝手も「新品以上」に生まれ変わると評判です。
【イス・ソファの施行事例】クリックするとHPの事例を見られます
1.座面の破れ・汚れ・スポンジのへたり
2.脚・座板・背板の折れ・割れ
3.がたつき・ぐらつき
4.ペーパーコードのゆるみ・切れ
5.籐の破れ
6.ペットによるかみ跡・ひっかきキズ
7.色を変える
8.サイズを変える
テーブルの修復
テーブルの天板の欠けやキズ、白濁や輪染み、タバコの焦げあとなども「なかった」ことに!
【テーブルの施工事例】クリックするとHPの事例を見られます
1.しみ・輪じみ
2.白濁
3.塗膜はがれ
4.日焼け
5.焦げ跡
6.色を合わせる
7.色を変える
8.サイズを変える
9.破損補修(折れ・割れ・がたつき)
住宅の補修
自宅の壁の穴あきや落書きや床のキズ、ドア、外構などの「補修」「復元」も得意。フローリングの床張りや壁の張替えなどは新しくした部分と周囲との色の差が気になりますが、調色塗装を施して違和感なく仕上げてくれます。
陶器の修復
「色褪せやヒビ、割れなど美術品の修復処置は、これまでの歴史背景と技術、また後世に引き継ぐという面でとても重大な責任を背負っていると考えています」。全国から依頼が寄せられている陶器の修復は、今や4カ月以上待ち!個人だけでなく老舗ホテルや学校、神社、重要文化財の修復なども手掛けているとか。
その高い技術と豊富な実績が信頼の証。各部門のスペシャリストとして、誇りを持って作業にあたっている職人の姿が印象的でした。
「どんなに劣化がひどくても、壊れていても、うちの職人の手にかかれば大丈夫。ガラス以外の素材ならほとんど何でも修復できます」と細貝社長。自社職人の技術に全幅の信頼をおいています。
若手や女性の職人の積極的な採用
職人=年配者のイメージがあったのですが、工場内にはベテラン職人だけでなく若い職人の姿も多く見られました。「次世代に職人の高い技術を受け継いでいくため、毎年必ず新入社員を採用しています。美大出身者が多いですね」。女性職人も多数活躍しており、働きやすい職場環境が伺えます。
リペアスクール随時開講
同社ではこの高い技術を社内にとどめておくだけでなく「リペアスクール」を開講し、外部の人たちにも伝えています。2~5日間の講習でドアやフローリングなどのちょっとした補修ができるようになるので、建築や不動産業界、ハウスクリーニングなどのプロのほか、将来的にリペア業者の起業を目指す人、自宅の修復を行いたいと考える個人の参加もあるそうですよ。
思い出まで復活!リメイク家具も得意
元通りに修理するだけでなく、不要になった家具に新たな価値を生み出せるのも職人のなせる業。これまでと違う役割でよみがえらせるリメイク家具も人気です。
お部屋のサイズや使う人の身長に合わせてサイズダウンや高さ調整も可能。最近は大きい桐ダンスやサイドボードなど形見の品をリメイクする人が多いとか。
全てピカピカにするのではなく、子どもがつけた思い出のキズなどはあえて残すことも提案などもするそう。「味わいを残しつつキレイに」など依頼者の気持ちに寄り添い、心を込めて修復してくれます。
メンテナンスや修理をして使い続けることで、不要品ができるだけゴミにならないように抑制する循環型社会に貢献することができますね。
サステナブルな製品も
さらに、作業工程の中で余った素材や部品もすぐにゴミにするのではなく、別の場所で生かす方法を考えます。布やカンナで削った木などの端材を使った商品がこちら!横浜の市花であるバラをかたちどったコサージュタイプの「濱ローゼ」です。
「『(SDGsの取組に)はまろーぜ!』という洒落もかけています(笑)。行政や施設、環境団体などのサステナブルな集まりや、冠婚葬祭などで活用してもらえたら嬉しいですね」
全てがSDGsにつながっていた
工場見学後、細貝社長に同社の歴史についてお話いただきました。
細貝社長は地元の横浜立野高校を卒業後、大学で建築について学び、卒業後に住宅メーカーに入社。2000年に同社を創業。最初は住宅の修復だけだったそうですが、お客様からの要望に応えているうちに、下記の様々な修復を手がけられることになったそうです。
- 住宅・店舗施設のキズ補修
- 家具塗装
- イス・テーブル・ソファの補修
- 創作家具
- 陶器補修
- ブランドバッグの修理・補修など
「うちはね、大概仕事を断らないの(笑)」と細貝社長。材質、破損状況、使用状況など、案件によっては稀に補修では全てをカバーできないことも出てくると言いますが「少しでもお客様のお役に立ちたい」という職人たちの想いが、技術向上や他分野の補修にも生かされているといいます。
「メンテンナンスや修理をしながら、モノを長く大切に使ってもらえたら」。同社のサービスや企業理念が全て、SDGsの取組につながっていました。
ビフォーアフター、全部見せます!
同社ではブログを通じて、日々職人たちが手掛けた家具補修や現場補修、陶磁器補修などの”作品”や取り組みなどをご紹介しています。公開できるのも仕上がりに自信があるからこそですね。
ブログはこちら