「ブレス」「フォルテッシモ」。体育館で演奏とともに力強く響く指導。声の主は、今年93歳を迎える現役トランペット奏者 ラリー・ギルボさん(平作在住)だ。米海軍第七艦隊音楽隊などを経て、現在は横須賀市内のシニア楽団で講師・プレーヤーとして活動する。
90年近く経っても色あせない音楽にかける思いと、高齢ながらも元気でいられる秘訣に迫った。
トランペットとの出会いは?
「6歳の時、父がコルネットを買ってくれたのが最初だね。ドレミの出し方を教えてもらってひたすら吹いていたよ。中学以降、クラブではトランボーンを担当していたけど、腕を大きく動かして吹くのが嫌でね。他の生徒に代わってもらって、それからはトランペット一筋だよ」
はじめて横須賀に来たのはいつのことですか?
「海兵隊に入ったあとだから、1952年かな。今でこそ横須賀の街は、高層ビルやショッピングモールで先進的な印象を受けるけど、当時、特にドブ板通りなんかは混とんとした雰囲気をまとっていたよ。本町にあったEMクラブのミリタリークラブではよく演奏したものだよ」
現在の楽団に参加するようになった経緯は?
「日本人の妻と結婚して各地を転々としていたのだけど、リタイアしてからは横須賀に腰を落ち着けたんだ。その時、横須賀基地の関係者から紹介があって、誘ってもらった。当時は他に先生がいたのだけど、5年ほど前から僕が英語で何とか教えているよ」
メンバーからは「鬼軍曹」として恐れられているようですが
「ハハハ。確かにそうかもしれないな。耳も徐々に聴こえにくくなってきているけど、演奏については妥協できない。複雑な日本語会話は難しいけど、音楽用語であればみんな通じるから特に不自由していないよ」
人生100年へ向け、目標があれば教えてください。
「とにかくいつまでも演奏を続けていきたい。3月にはコンサートもあるしね。この最高の仲間たちとの演奏が楽しみだ。僕は30代で大学で学士を、50代に大学院で修士号を取ったんだ。挑戦は何歳からでもできるから、ぜひ同世代にもいきいきした老後を送ってもらいたいね」
今度のコンサートの見どころは?
「ラテンやジャズの名曲のほかに、『東京ブギウギ』や『恋のバカンス』『上を向いて歩こう』といった日本の懐かしい歌謡曲も演奏する。来てくれる人には僕に負けないくらいノッてほしいな。楽しむのに年齢は関係ないからさ」
《アンサンブル「スルーザ横須賀」スプリングコンサート/3月16日(日)午後1時30分開演/横須賀市文化会館中ホール/入場無料》