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茅ヶ崎の歴史は、人の物語から見えてくる。ゆかりの人物館で出会う、まちの記憶

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茅ヶ崎の歴史は、人の物語から見えてくる。ゆかりの人物館で出会う、まちの記憶

ラチエン通り沿いの、海を望む小さな丘に、「ひと」と「まち」をつなぐ新しい文化交流の拠点として、2015年に誕生した「茅ヶ崎ゆかりの人物館」。ここは、茅ヶ崎に縁のある人物を通して、まちの歴史や文化をたどることができる施設です。作家、芸能人、文化人、医師、実業家。茅ヶ崎という土地に関わった人々の人生をひも解いていくと、単なる年表では見えてこない、まちの姿が浮かび上がってきます。案内してくれた運営アドバイザーの平山さんは、ゆかりの人物館の魅力について、こう語ります。

「一人ひとりを掘り下げていくと、茅ヶ崎という土地を舞台にした大きな物語が見えてくるんです」

運営アドバイザーの平山孝通さんは市役所職員として長年にわたって史編さんに携わった茅ヶ崎市史の専門家です

茅ヶ崎にゆかりのある人々を紹介する場所

ゆかりの人物館で取り上げているのは、茅ヶ崎に関わりのある110人が中心。110人の選定にあたっては、まず図書館などで資料を調べ、歴史の中に登場する人物を広くリストアップするところから始まったといいます。候補は膨大な数にのぼり、そこから検討を重ね、現在の110人に整理されました。

展示はおおむね半年ごとに切り替わります。一人の人物に焦点を当てる企画展もあれば、開館10周年を機に、これまで取り上げてきた人物を振り返るような集合展示も行われています。そのため、一度訪れたことがある人でも、次に来たときにはまた違う人物、違う時代、違う茅ヶ崎に出会えるのが、この場所の大きな特徴です。

過去の企画展示のポスターがずらり。どれも「人」に焦点をあてて茅ヶ崎の歴史を深堀りしているといいます

團十郎、川上音二郎、国木田独歩。点と点がつながる面白さ

平山さんの話を聞いていると、ゆかりの人物館の面白さは、単に「有名人を紹介すること」ではないとわかります。たとえば、九代目市川團十郎。明治期、茅ケ崎駅ができる前からこの地に別荘を構えていたとされる人物です。当時の茅ヶ崎は、平塚、大磯、鎌倉、藤沢などと同じように、別荘地としての発展を模索していた時代。團十郎のような著名人が茅ヶ崎に滞在することは、新聞などを通じてまちの名を広めるきっかけにもなりました。

さらに、川上音二郎や貞奴の物語も重なります。團十郎との関わり、茅ヶ崎への来訪、明治という時代の芸能文化。人物を一人ずつ見ているだけでは点のように思える出来事が、語りを聞くうちに、茅ヶ崎という土地の上で少しずつ線になっていきます。

また、国木田独歩や南湖院の話も印象的です。南湖院は、茅ヶ崎にあった結核療養施設。国木田独歩が入院し、亡くなった場所でもあります。文学者の足跡をたどることは、同時に、茅ヶ崎が療養地として知られていた時代を知ることにもつながります。

人物を知ることが、まちを知ることになる。ゆかりの人物館は、そんな発見に満ちた場所です。

現在は10周年を記念して「ひとが綴る茅ヶ崎の物語」展が開催中

年表ではなく、「物語」として歴史に出会う

歴史というと、年号や出来事を覚えるものだと思われがちです。しかし平山さんの話から伝わってくるのは、歴史を物語として読む楽しさでした。茅ケ崎駅ができる。別荘地として人が集まる。南湖院ができる。文化人や芸能人が訪れる。戦後にはまた新しい文化が生まれ、音楽や文学、映像、芸術へとつながっていく。

一つひとつの出来事は別々に見えても、茅ヶ崎という土地を舞台にすると、そこには大きな流れがあります。「茅ヶ崎という大きな舞台の上で、時代の違う人たちが次々と登場して、一つの物語をつないでいる」平山さんの言葉からは、この場所を通じて歴史をもっと身近に感じてほしいという思いが伝わってきます。

若い人にも来てほしい。創造性を刺激する場所として

現在、来館者は年配の方が多いといいます。けれど、平山さんは若い世代にもぜひ足を運んでほしいと話します。歴史を知ることは、過去を振り返るだけではありません。かつてこのまちで何が起き、どんな人が暮らし、何を考え、どんな表現や活動をしていたのかを知ることは、今を生きる人にとっても大きな学びになります。

特に、表現やものづくりに関心のある人にとっては、人物の生き方や時代背景に触れることで、創造性を刺激されるはずです。作家、役者、音楽家、医師、事業家。ジャンルは違っても、それぞれの人物が茅ヶ崎という土地と関わりながら、自分の表現や仕事を形にしてきました。その足跡に触れることは、自分自身の活動を考えるきっかけにもなるかもしれません。

半年ごとに変わる企画展示とギャラリートーク

ゆかりの人物館の見どころは、約6か月ごとに切り替わる企画展示です。取り上げられる人物が変わるたび、展示資料も、語られる時代も、見えてくる茅ヶ崎の表情も変わります。また、第一金曜日の午前中にはギャラリートークも開催されています。展示を見るだけでは気づきにくい背景や、人物同士のつながり、資料の見方などを聞くことで、展示の面白さはさらに深まります。

「ただ展示を見るだけでなく、話を聞くことで、人物とまちの関係がより立体的に見えてくる」

そんな体験ができるのも、この場所ならではです。

いつか、地域の人と一緒に歴史を掘り下げる場所へ

平山さんには、今後やってみたいこともあります。それは、地域の人たちと一緒に、茅ヶ崎の歴史や人物について考える研究会のような場をつくること。たとえば、小津安二郎のように、茅ヶ崎と関わりのある人物を取り上げ、その足跡や作品、時代背景を地域の人たちと一緒に掘り下げていく。専門家だけが語るのではなく、まちに暮らす人たちが自分たちの視点で歴史を考え、語り合う。そんな場が生まれれば、ゆかりの人物館は展示施設にとどまらず、地域の知的な交流拠点にもなっていくはずです。

開高健記念館とあわせて訪れたい、もうひとつの学びの場

開高健記念館では、一人の作家が暮らした空間や、その濃密な気配に触れることができます。一方で、ゆかりの人物館では、さまざまな人物を通して、茅ヶ崎というまちの奥行きを感じることができます。一人の人生を深く味わう開高健記念館。多くの人物のつながりから、まちの歴史を広くたどるゆかりの人物館。

二つをあわせて訪れることで、茅ヶ崎がなぜ多くの文化人や表現者を惹きつけてきたのか、その理由が少しずつ見えてくるかもしれません。海があり、別荘地としての記憶があり、療養地としての歴史があり、文学や芸能、音楽の足跡が重なっている。ゆかりの人物館は、そんな茅ヶ崎の記憶を、人の物語からたどる場所です。

知っているようで、まだ知らない茅ヶ崎に出会いに。散歩のついでに、週末のおでかけに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

茅ヶ崎ゆかりの人物館

所在地 茅ヶ崎市東海岸南6-6-64
電話 0467-81-5015
開館時間

毎週、金曜日・土曜日・日曜日の3日間と祝日
10時から18時まで(入館は17時30分まで)

※11月から3月までは、10時から17時まで(入館は16時30分まで)

休館日 毎週、月曜日から木曜日(祝日は除く)
年末年始(12月29日から1月3日)、展示替え等のため、臨時休館あり
交通案内

JR茅ヶ崎駅南口より約2km

  • コミュニティバス:東部循環市立病院線・松が丘コース バス停「開高健記念館」下車すぐ
  • 神奈川中央交通バス:辻堂駅南口行き 辻02系・辻13系 「東海岸北五丁目」バス停より約600m
駐車場 あり(8台)
観覧料

観覧料 200円

共通観覧料 300円(隣の茅ヶ崎市開高健記念館の観覧を含む)

※18歳未満及び高校生以下は無料

ホームページ https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/bunka_rekishi/1020607/index.html

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住所

神奈川県茅ヶ崎市 /茅ヶ崎ゆかりの人物館

公開日:2026-07-31

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