川崎市では待機児童問題を解消するため、潜在保育士の復職を応援する合同説明会などを定期的に実施しています。リスタートの第1歩を踏み出した、笑顔いっぱいのママさん保育士にお話を聞きました。※本文情報は2019年1月取材時のものです
【ケース1】双子の0歳児を預けて復職
川崎市幸区にあるリエッタ保育園勤務の木村実夏子先生、29歳。
小さい子の世話が大好きで、幼稚園の先生になるのが夢だった木村先生。大学で資格を取り幼稚園に勤務し、結婚を機に一旦退職。昨年双子を出産し、生後5カ月で現在の保育園に就職しました。
「勤務時間は一瞬」
木村先生は現在、9時30分~15時30分の時短勤務。リエッタ保育園には職員用保育園が同じ建物内にあり、お子さんを預けて出勤します。勤務時間は「本当にあっという間です」と、目を輝かせ嬉しそうに話してくれます。
双子ママ・・・復職への壁
復職に向けて苦労は多かったという木村先生。まず、0歳児を2人預かってくれる園を探すのが大変だったこと。そして2人を抱っことおんぶでの移動もあったそうで、「みんなは1人なのに、なんで自分は2人なんだ!」と思ってしまう事も。「色々な事業所の話が1か所で聞ける『お仕事説明会』などは、その日だけ子どもを頼めば良いのでママは助かります」と話していました。
なぜそこまでして復職を?という質問に、迷わず「保育士として働くこと、仕事をすることで社会と繋がり、『ありがとう』と言ってもらえる仕事が大好きなんです」と話します。
【ケース2】子育てを経てから復職
川崎市中原区のひまわりほいくえんの副園長、平井亜紀子先生43歳。中学生の娘さんと小学生の息子さんがいます。
結婚前は愛知県の幼稚園に勤務し、結婚後もご主人が神奈川在住にもかかわらず愛知で仕事を続けていましたが、妊娠を機に退職し神奈川へ。約10年の専業主婦を経て、下のお子さんが幼稚園を卒園してから、横浜の保育園にパート勤務で復職しました。
とにかく我が子と一緒にいたかった
幼稚園の仕事は大変でしたがとても楽しかったそう。それでも専業主婦として過ごしたのは、何よりも我が子の近くで成長を見守っていたかったから、と話します。
「夕食は家族と一緒にしたかったので」と、復職も最初は時短勤務でのスタートでした。
求められて正職員に
現在勤務するひまわりほいくえんは、以前勤務していた愛知県の幼稚園が経営する保育園で、2018年4月に開園。平井先生の人柄やこれまでの経験をかわれて、副園長として勤務することに(19年の4月からは園長です!)。しかし正職員勤務への不安も大きかったと言います。
ブランクへの不安
10年近く現場を離れていたので、何より「昔の知識で仕事ができるの?」という不安が大きかったそうです。時代と共に園児との接し方などは変化しているので、現場を離れている時間が長いほど不安は大きくなるようです。「復職を決める前に研修や体験会などに参加する機会があれば、大きく前へ踏み出せると思います」と平井先生。
川崎市では復職に不安を感じている方に向けた各種サポートなども行われています。また現場に戻った保育士向けの研修もさまざま。平井先生にとっても、研修の機会が知識を得るだけでなく交流の場にもなっていて、同じように復職した人同士で思いを共有し、不安を乗り越えていけたそうです。
子どもの応援支えに
息子さんが小学校低学年だった頃は「仕事に行かないで」と泣かれたことも。しかし「今では仕事をしているお母さんを自慢に思ってくれているみたいで、応援してくれているな、と感じます」。寂しい思いをさせていると感じていましたがいつの間にか家族がたくましくなっていることを実感しています、と平井先生は話してくれました。
《潜在保育士の方へメッセージ》
みんなが成長できる場
子どもが相手の仕事なので、難しいですがとても面白いです。自分も、同僚の先生たちも、家族も、そして子どもたちも一緒に成長していく事を実感できる素敵な仕事なので、迷っている方には勇気をもって1歩を踏み出してほしいです。(平井先生)
毎日の元気の源
家では自分の子どもの世話を、仕事でも子どもの世話をして、結局一日中子どもを世話してますね(笑)。それでも一日中家にいた時とは全然違います。生活にメリハリが生まれました。子どもにとっても親以外の大人と関わり、集団で過ごすことは良い経験になっています(木村先生)