神奈川県・山北町への移住者が集い、情報交換や意見交換などを行う「移住者交流会」が2020年2月24日、大野山の麓にある「共和のもりセンター」で開催されました。今回で4回目の開催となるイベントを移住者の皆さんの声とともに取材レポートします。
山北町移住者交流会って何?
山北町の移住者交流会は、年に1回、毎年春に行われています。やまきた定住協力隊、町職員とともに、日々の活動についての情報交換や、町に移住してよかったこと、困っていること等について意見交換しています。
「やまきた暮らし」さらに充実へ
移住者が講師となり、体験イベントを開催。移住者同士の交流を深め、町での暮らしやそれぞれの活動をさらに充実させ、町の定住施策をより良いものとすることを目的とした交流会です。
この日は移住者、やまきた定住協力隊員、町職員ら30人以上が集まり、午前9時に山北町役場に集合。会場へと向かい、10時の開会後は全員で自己紹介を行いました。
山北の自然の恵みに感謝
自己紹介タイム後は、2部屋に分かれてものづくり体験を実施。あみかご・バターナイフづくりは吉田知世さんとやまきた定住協力隊として活動している吉田洋子さん親子が講師を務めました。知世さんと洋子さんは、親子で2年前に藤沢市から移住しました。
コースター・キーホルダーづくりは、同じく移住者の藤山美夕紀さんと地元・共和地区の杉本君雄さんが講師を務めました。いずれも山北の木材の恵みがあるからこそ実現できた、ものづくり体験でした。
懇親会では、ものづくりから参加していた湯川裕司町長があいさつ。全員で昼食を楽しみました。
町は2018年度の交流会をきっかけに発足した移住者ネットワーク「ほたるの会」の活性化につなげていく構えです。
移住者に聞く(1):藤沢市から移住した吉田さん親子
当日、交流会に参加した移住者2組を紹介します。まずは、ものづくり体験の講師を務めた母・やまきた定住協力隊の吉田洋子さん、娘の知世さんに山北町の魅力を聞いてみました。
江の島で有名な湘南・藤沢から移住してきた吉田さん親子。約2年前に開催された「空き家見学ツアー」に参加した際、親子で気に入った家にすぐ入居を決めました。さらに共和地区の薪風呂に入れる住居も借りています。
湘南の海から「山派」な二人に
二人とも「NPO法人共和のもり」のスタッフです。洋子さんは藍染めを行っており、以前から水のキレイな場所を探しており、子育ての終わったタイミングを見計らっていたそう。
娘の知世さんは美大に通っているときに梅の収穫を体験した喜びが大きかったそうで、週2回は牧場のお手伝いも。今回のものづくり体験でも一生懸命指導していました。
水と緑が豊かな山北町との出会いが、その活動の幅を広げています。二人とも、海辺の湘南エリアよりも山側地域に魅力を感じるようになったそうです。
共和地区ってどんな所?
そんな「NPO法人共和のもり」のスタッフである吉田さん親子の活動拠点である「共和のもりセンター」は、大野山登山口から徒歩20分、JR御殿場線山北駅から徒歩1時間。標高723mの大野山の麓である共和地区は多くのハイカーが訪れ、自然を満喫できる素晴らしい環境であり、伝統芸能も古くから続けられています。
かつては700人以上いた住民が、現在は200人足らずに。地域唯一の学校を失い、「将来この村はどうなってしまうのか?」「水源林である大野山山系を守ることができるのか?」と考え、子や孫の代まで良い水を飲んでもらうため、山を作り変える行動をすべきだと考え「NPO法人共和のもり」が誕生。
近年は、若者の移住が続き、注目される地域となっています。
災害に強い町へ
また、山北町の山間部は大きな台風による土砂崩壊が多く、復旧に苦慮することがあります。山の管理不足が原因の一つとされており、災害に強い山づくりが求められています。吉田さん親子も、こうした問題に取り組んでいます。
移住者に聞く(2):原圭太さん、梓さん夫妻
交流会当日は、梓さんと2人のお子さんが参加しました。
抜群の子育て環境にママ大満足
ご主人の圭太さんは、全国を飛び回る仕事をされているそうで、ご実家に近い山北町に2年前、新居を構えました。他の候補地と比べて、子育て環境の充実(※)が何よりだったといいます。「静かで、自然がいっぱいで、住み心地は抜群」だそうです。
梓さんは富山県の出身で、この地は初めて。「周囲の方がやさしくて、気を使ってくれる」と、嬉しそうに話していました。2人のお子さんもすくすくと育っています。
※山北町の子育て支援として、出産祝い金、紙おむつ支給、中学生までの小児医療費助成、保育園・認定こども園の保育料一部支援などがあります。詳しくは山北町ホームページをご覧ください。