企業のテレワーク導入や通勤削減などが広がる中、都市部から小田原市など県西地域への移住が増えている。移住の決め手や、移住をサポートする行政、民間の取り組みを連載する。
敷地面積500坪。平屋の住居に芝生の庭、畑が広がる。
東京の広告会社に勤める小林パウロ篤史さん(45)は、「子どもが小学生になるころには、妻の実家の近くで暮らしたい」と、昨年6月に東京都大田区から小田原市千代に引っ越してきた。
これまで住んでいた20坪の戸建てと価格がほぼ同じだったことも、移住を決めた理由の一つだ。また、新幹線を利用すれば約1時間で通勤でき、混雑を避けられる。
一方、利便性が良かった都内に比べると、買い物やレストランなど徒歩で行ける場所はあまりない。そこで、「ほしいものはすべて敷地内につくろう」と考えたという。大型トランポリンにテントサウナ、このほどゲストルームも兼ねたレストラン風の離れも完成した。2階は小林さんの仕事場になっている。
現在、テレワーク中心の小林さん。「移住って、住んでいた土地と縁が切れてしまうイメージがあるかもしれませんが、まったく違う。リモートとワーケーションを合体させた感じで、移住した気がしないんです」と話す。何より、家族との時間が充実したという。小田原ならではの敷地を生かした新たな暮らしは、まだまだ進化しそうだ。