団地というと「昔に建てられた古い建物」や「少子高齢化が進んでいる」、「空家やシャッター街が増えている」といった印象を抱く人が多いのではないでしょうか。横浜市旭区は、市内でも団地が多い地域。その中のひとつ「左近山団地」では、従来の団地のイメージとは違った取り組みなどが行われています。
歴史は50年以上
左近山団地は相鉄線・二俣川駅からバスで10分ほどの場所に立地し、50年以上の歴史を有する大規模団地です。1968年に入居が始まり、ピーク時には約2万人が暮らし、3つの小学校がありました。
50年を迎えたUR賃貸住宅の外壁修繕では、いくつかの住棟に地域住民らの投票で決めたオリジナルのロゴマークを刻印。スタイリッシュなデザインに一新されています。ロゴマークは団地内の商店街などにも記され、左近山の新たなシンボルとして地域住民たちから親しまれています。
大学生の活動場所に
近年は横浜国立大学と賃貸住宅を管理するUR都市機構、旭区が協定を結んで、同大の学生が団地に住みながら地域活性化を図る取り組みも進められています。居住する学生たちを中心に「サコラボ」というグループを作り、NPO法人や商店街、自治会のイベントに協力したり、自主的な企画を展開したりと、アイデアを生かして地域を盛り上げてきました。
商店街の店舗が提供する逸品のおかずを使った特別定食を提供する「サコメシ」は2021年3月までに5回開催。さらに、地域の「夏まつり」や団地内アート拠点の「左近山アートフェスティバル!」への参加をはじめ、地域イベントに積極的に関わっています。
「サコラボ」のこれまでの活動はフェイスブックページで発信中。活動を振り返るオンラインの報告会の様子なども見ることができます。
左近山といえば「花火」に
商店街をはじめ自治会やNPOなどが中心となり、毎月のようにイベントが開催されている左近山地域。2020年はコロナ禍でなかなか人を集めるイベントができない中で、この地域の恒例となりつつあるのが「打ち上げ花火」です。
以前から夏祭りなどを盛り上げるプログラムの一つとして打ち上げられてきましたが、2020年は左近山地域だけで計5回の打ち上げ花火が行われました。商店街が夏祭りの一環として、自治会がコロナ禍で開催できない夏祭りの代替案としてなど、形はさまざまですが、地域住民に喜んでほしいという思いから続けられています。
2021年2月27日の「梅まつり」(イベント関係はほぼ中止に)でも打ち上げられ、団地内の商店街の一つである左近山ショッピングセンターの青木栄一会長は「日頃から地域の皆さんに少しでも喜んでもらうことをと考えています。その中で自治会の賛同もあり、左近山で続けて花火が上げられています。今後も続けていって、左近山といえば『花火』と言われるようになれば」と話しています。
こうした地域に向けたイベントやコロナ禍で商店街としてできることに取り組んできた中で、左近山ショッピングセンターは地域、団地内住民の生活拠点として機能していることが高く評価されて、第9回「かながわ商店街大賞」で準大賞を受賞しました。左近山ショッピングセンターでは今後も季節に合わせたイベントをできる形で継続していく予定で、青木会長は「自治会はじめ地域の皆さんの協力があるからこそイベントができている。感謝を忘れずに、自分たちのできることを続けていきたい」と話しています。