茅ヶ崎市の歴史研究や散策などを行う「ちがさき丸ごとふるさと発見博物館友の会」(以下「丸博友の会」)は10月22日(金)、結成5周年記念講演会を茅ヶ崎市民文化会館で開催します。テーマは、大正から昭和にかけて新栄町に存在した製糸工場「純水館」。「茅ヶ崎に世界屈指の製糸工場があったことを知ってほしい」と主催者は呼び掛けています。
「純水館」は1917(大正6)年から1935(昭和10)年まで、現在リニューアルオープンを控えるヤマダ電機付近にあった製糸工場です。
長野県で製糸工場を運営していた実業家の小山房全(ふさもち)が、病気療養のため南湖院に入院したことを機に工場を建設。面積は1万2000坪。最新器械204窯を備え、約350人体制で生産しました。
南湖院の医師を工場医に迎え、従業員の健康管理にも注力。1922(大正11)年には米国の視察団が訪れ、翌年にニューヨークの国際絹織物展覧会で紹介されるなどその品質は海外からも高く評価されていたものの、関東大震災や世界恐慌の影響で閉鎖しました。
茅ヶ崎の歴史の1ページ知って
茅ヶ崎の養蚕業の発展にもつなげた純水館。「しかし、その存在を知っている人はほとんどいない」と話すのは、丸博友の会の発起人・有村幸三さん(74)です。
会による調査では、市民の認知度は「1割程度」。ヤマダ電機のオープンによって同所への注目度も高いことから、純水館についての講演会を企画しました。講師は名取龍彦さん(茅ヶ崎郷土会)。「茅ヶ崎の歴史の1ページを知ってもらうきっかけになれば」と有村さんは話します。
コロナ下も活発に
5周年を迎えた「丸博友の会」。その原点は、市が推進する「ちがさき丸ごとふるさと発見博物館事業」です。市内全体を博物館に見立てて都市資源を活用する取り組みで、この講座に参加した卒業生らが「同窓組織」として2016年9月に立ち上げました。43人でスタートし、現在の会員は111人。歴史を学ぶ研修会をはじめ、散策、同事業へのボランティアなどを実施してきました。
昨年からは新型コロナの感染拡大に伴いイベントができなくなったため、会員によるレポートを「知識の宝箱」と題して月2回メール配信するなど、変化にも対応。メール配信の中心人物として活躍する原俊一事務局長(73)は「イベントができない中、会員どうしの気持ちをつなぐきっかけになれば」と話します。
今後は「今昔物語」と題し、茅ヶ崎市内を巡るツアーなどを企画していきます。「会のモットーである『明るく、楽しく、元気よく、そして仲良く、夢と希望を持って前進しよう』を大切に、活動を続けたい」と有村さん。
講演会10月22日
「純水館特別講演会」は10月22日(金)午後1時、茅ヶ崎市民文化会館小ホールで開催。入場無料で定員150人。申し込みは下記。