- 「『あべの森』で楽しそうに遊ぶ子どもの姿をみて入園を決めました」
港南区芹が谷にある「安部幼稚園」。住宅街のなかに、ポッと姿を現す同園は広大な敷地に緑が生い茂っており、その「森」は地域からも親しまれている大きな特徴のひとつ。
けれど、卒園生やその保護者に話を聞くと、同園の魅力はそれだけではないとのこと。
横浜では今や貴重ともいえる豊かな自然環境の中、同園ではどのような保育・幼児教育に取り組んでいるのか、安部幼稚園を訪ねて安部奈穂園長に話を聞いてみました。
(取材日・2021年9月23日)
<目次>
◎「森のようちえん」
◎クワガタも暮らす、自然豊かな森が園内に。
◎子どもたち一人ひとりが考える。そんな「工夫」を随所に
◎幼児期に、親子でさまざまな体験を。
◎親もふとひと息つける空間が、園内に。
◎後記
「森のようちえん」
正門の前に立つと、青々とした木々が目に飛び込んできて、安部幼稚園が「森のようちえん」と呼ばれている意味がすぐにわかります。敷地に入ると園庭の向こうには小高い丘があり、その「山」全体が園児たちのあそび場なのだそう。うわさでは、ヤギもいるのだとか。
こちらが園を紹介してくれる安部奈穂園長。安部幼稚園は奈穂園長の父で前・園長の富士男さんが1965年に創立した幼稚園。安部富士男さんは東京大学教育学部を卒業後、幼稚園創立の頃はまだ東京大学大学院に在籍中だったそうです。学生だったので幼稚園のための広い土地をなんとか手に入れようと、必死にアルバイトをしながら、今ほど住宅もなかった芹が谷の地に園を創ったといいます。
- 「あべの森をふくめて、園庭にはいろいろな種類の木があるんですよ。梅やビワに、柿や栗。大イチョウやどんぐりの木も…。桜も何種類かあって、四季折々に季節を味わいつつ生活しています。子どもたちが畑に植えるものをみんなで話し合って決めることもあります。育つ過程も大切にしながら、収穫を体験して味わったり、季節を感じながら1年1年を過ごしています」
同園の敷地は約3500坪。季節ごとに花や実をつける植物や、そこで暮らす生き物など、自然豊かな園庭が、四季を感じさせてくれます。
さらに、生活や体験をもとに絵を描くなど、表現する活動も大切にしているとのこと。本物に触れて、いろいろなものを感じたうえで紙に向かったら、その子らしい絵が描けそうだなぁ。
クワガタも暮らす、自然豊かな森が園内に。
さて、奈穂先生の案内でそのまま「森」のほうへ。
…うわぁ!
丘をのぼりきると一面が木々に囲まれ、森の中はやさしい風が吹き抜けています。
足元をみれば、いろんな木の実も落ちています。どんぐりの種類もいろいろ。不規則で凸凹な地面はまさに自然そのもので、子どもたちが元気に走り回る姿も目に浮かびます。ここで毎日遊んでいたら、足腰も強くなるだろうな(笑)。
「この森にはクワガタやカブトムシも暮らしているんですよ」
えーーーー!
うーんでも、たしかにこれだけ緑が多ければそれも不思議ではないですね。子どもたちも森の中でのいろいろな生き物との出会いは楽しいだろうなぁ。
見わたすと、木材を使った遊具もそこここにあります。
無造作にも見える森の中ですが、園児たちが安全に遊べるように森のおじちゃん(大きくなった卒園生のお父さん・お母さんなど)が、日々敷地内を手入れしているんだそうです。ありのままの自然のようにも見えますが、心配りされているんですね。
子どもたち一人ひとりが考える。そんな「工夫」を随所に
安部幼稚園の園内がとても素晴らしい自然環境に囲まれているのは分かりました。教育面で大切にしていることはどんなことなのでしょう。
「例えば、園に赤ちゃんヤギや子うさぎなどがやってきて安部幼稚園の仲間入りをしたときなどは、どうぶつ係をしている年長組みんなでその子の名前を考えたりします。最初、子どもたちに意見を聞いてみた後、『じゃあ、自分の名前はどうやって今の名前になったのか?お家の人に聞いてみよう』…などと投げかけてみます。
子どもたちは、次第に、1人ひとりの名前には、願いや想いがこめられていることに気がついていきます。すると、次の話し合いでは、まったく違う名前が挙がったりするようになる。どんな名前がいいかな…と、願いや想いをもって話し合い、みんなで相談して名前が決まったりします。
- そんな風に、時には家族も巻き込みながら、一人ひとりが主役として自分で『考える』体験、仲間と『伝えあう』体験を、生活の中で楽しく重ねていくことが大事じゃないかなと思うんです」
なるほど、お家の人に聞いてみるというひとつのプロセスが重要そうですね。
幼児期に、親子でさまざまな体験を。
感性が育まれる時期だからこそ、自分でやってみたり、考えてみたりということは大切なのでしょうね。それを豊かな自然環境の中で体験できるのはいいですね。
- 「ええ。でも安部幼稚園では、子どもだけでなく、入園した親子が、一緒にいろんなことを感じて生活していけたらいいな、という想いがあります。ある意味、子どもはあっという間に大きくなってしまうから…。この時期にしか得ることのできない我が子の育ちを通して、私たち大人が気づかされることも多いのではないでしょうか」
ともすれば、バタバタと日々が過ぎ去ってしまう時期でもありますよね…(心当たり)。帰ったらうちの子どもたちの話をもっとちゃんと聞いてあげようと思います(反省)。
親もふとひと息つける空間が、園内に。
ただ、「子ども第一」と思いすぎると、がんばりすぎてしまう親御さんもいるように思うのですけれど、安部幼稚園の卒園児の保護者さんの話を聞くと、決して肩ひじ張ったり、しっかりしなきゃいけない、という感じはそんなにしない気もします。そのあたりはどうですか?
- 「よくお母さんやお父さん方からは、『安部に入って、一人で頑張らなくていいんだと気づきました』という話を耳にします。園にいる先輩ママたちも同じように悩んだ時期を経験していたりするので、様子を見ながら『自然に声をかけてもらえる』雰囲気が続いているようです。
安部幼稚園には園児がすごす園舎のほかに、『ちくセンター』と呼んでいる建物があるのですが、そこにはテーブルやイス、絵本などが置いてあって、送り迎えのママやパパたちが自由にすごすことができます。しずかに休憩するのもいいですし、慣れてくるとみなさんの交流の場にもなっていますね。『お迎えの時間まで、ずっとおしゃべりをしちゃってました』なんて人もいますよ。
保育後の園庭開放の時間もそういった交流の場になっていますが、なにげない日常の中で、知り合ったり、育児についての話ができるというのも大きいのかもしれません。あ、うちだけじゃないんだって」
居場所というか、ちょっと休憩できる空間が園内にあるのはうれしいですね。園児のお父さんお母さんも安部幼稚園のような自然の多い環境で子どもを育てたい、という思いの人たちが多いからでしょうか、お互いに認め合ったり、尊重し合うような園全体の雰囲気につながっている気がしました。
<タウンニュース掲載 安部幼稚園 ママ座談会>
後記
幼稚園選びで迷っている方は、選択肢の一つとして安部幼稚園に行ってみることをおすすめします。園庭は毎日のように開放されているので(※地域感染状況により変更有。詳細はHPを参照)、実際に豊かな自然を感じてみてもらえたらなと思います(保育中の見学【要予約】も、随時受付)。
延長保育も17時まで対応してくれるそうです(別途有償※)。