茅ヶ崎在住の3人が、地域の中で本に触れられる場所を作ろうと、「まちなか本棚プロジェクト」を始動しました。
書店が無くなったり電子書籍が普及する中、「手にとれる本」の魅力を次世代へとつなげたり、読書を通して人と人をつなげることが目的です。
プロジェクトの中心は石塚和人さん、大西裕太さん、堤健一郎さんの3人。いずれも自他ともに認める「本好き」です。期間限定のブースを市内各所に設けながら、3人が所有する本を販売したり、本同士を交換できる場をつくっていきます。
11月3日には、新たにオープンしたBRANCH茅ヶ崎3(浜見平)内で、「BRANCHマルシェ」の協力のもと初開催しました。
書店減少に寂しさ
発起人の一人、石塚さんは「始業式前には教科書を読み終えていた」というほどの活字好き。まちの書店が減少している状況に寂しさを感じていたところ、全国を旅しながら本を販売する「放浪書房」と出合いました。放浪書房は2021年6月に、BRANCH茅ヶ崎2に訪れていました。
都内に勤める石塚さんはコロナ禍以降、在宅ワークが増加し「地元でも何かしたい」という思いが強くなっていました。そこでコワーキングスペースチガラボ(新栄町)で「移動式の本屋さん」を提案。賛同したのが大西さんと堤さんでした。
会話のきっかけに
大西さんは、うつと休職を経験。現在はキャリアカウンセラーとして活躍しています。
多忙だった会社員時代、「家に帰る前に書店に立ち寄る」ことを習慣としていました。「もっとまちのあちこちに本棚があれば」という思いが、石塚さんと共鳴しました。
大西さんは2021年6月から、チガラボ内で、本をきっかけとした会話の場づくりを目的に「話せるシェア本屋とまり木」を開始。今回のプロジェクトでも、「本を介したコミュニケーション」を大切な柱としています。
情報発信も
もう一人のキーマンである堤さんは、柳島海岸出身。子どもの頃は、西浜高校近くにあった書店によく通っていたそうです。
石塚さんと同じく在宅ワークが多くなったことを機に、地元で「本に触れられる場所」が少なくなっている状況に、改めて気が付きました。今回のプロジェクトでは、本職のウェブマーケティングの知見を生かしつつ、情報発信も積極的にしていく考えがあります。
こうした3人の思いを「NPO法人湘南スタイル」(渡部健代表)が、BRANCHを運営する(株)大和リースとつなぎ、企画が実現しました。石塚さんは「地域で本が循環し、本をきっかけに交流する。そんな場所を作っていきたい」と話しています。