2022年が幕を開け、厚木佐藤病院の佐藤史朋院長に今年の抱負などを聞いた。
記者/早速ですが、昨年の振り返りからお願いします。
佐藤/あけましておめでとうございます。まず、昨年3月に当院でも新型コロナの院内クラスターが発生し、患者様、ご家族様にご心配をおかけしました。改めて心よりお詫び申し上げます。
また地域の皆様より、医療物品をはじめとするご支援を頂きありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。
さて、当院は開設以来、精神疾患や認知症患者さんの感染症や癌治療を数多く行ってきました。多くの急性期病院は精神疾患患者の対応が困難ですし、精神科病院は身体疾患の治療を行えない所が多いのが現実です。この様な患者さんは精神状態が悪いと身体疾患も良くならず、逆もまたしかりです。
治療にあたっては、内科や外科の医師と精神科医師はもちろん、看護師をはじめとするスタッフ皆での協力体制が必要です。治療だけでなく自宅や施設に帰る時にどのようなサポートが必要か皆で相談していくことも大切です。その為どのような治療法があるか、公的支援が使えるかなど、医療知識だけでなく社会福祉の知識の共有が必要です。現在どこの病院でも「チーム医療」という言葉を良く聞きます。当院もチーム戦で医療に臨んでいます。
記者/実際に厚木佐藤病院にはどのようなチームがあるのでしょうか。
佐藤/摂食嚥下チーム、医療安全対策チーム、感染対策チームです。認知症疾患医療センターや呼吸器センターなども、診療科を超えて対応する意味ではチームと言えると思います。
例えば軽度の認知症がある肺癌患者が手術を行う場合、呼吸器外科の主治医、認知症の検査や治療を行う臨床心理士や精神科医師、術前術後のリハビリを行う理学療法士、検査を行う臨床検査技師や放射線技師、入院中は看護師や介護職、栄養士、退院支援に医療ソーシャルワーカーと、最低でも10の職種が協力して対応する必要があります。そしてチームの中心は「治って帰る」と頑張る患者さん本人です。
記者/今年の診療について教えてください。
佐藤/今年は4月から最新型のMRI装置を導入します。これにより認知症の診断精度上昇、癌の全身転移のチェックが可能になり、医療の質の向上に期待ができます。今年も感染対策を行いながら「心と体の健康を守る質の高い地域医療」を目指していきますので、
宜しくお願い致します。