「一番避けるべきなのは、後から『本意ではなかった』と思われてしまうことです」。そう話すのは八王子市元横山町にある司法書士事務所・足立事務所の足立直哉さん。
足立さんのスタイルは「とにかく、100%まずは相談者のお話を聞く」という手間のかかる方法。しかし、沢山の情報を集めるからこそ、その中にある依頼者の感情をくみ取ることが、後悔のない遺言作成することにつながるそうです。
- 「しっかりと本人の意思と感情がくみ取れるような遺言がベストです」。
「五月雨の状態でも構わないので、まずはすべてのお話を聞くことから始めています。第三者だからこそ、話せることもあると思います」と足立さん。
遺言はやっぱり必要
「皆さん『親族に揉めてほしくない』という思いが強いですね」と足立さん。
「相続人全員が協議で納得すれば、本来であれば遺言は必要ないのかもしれません。ただ、実際には子供たちの仲が良くても、『相続』が『争族』になってしまうこともあります」。その背景には、兄弟姉妹の仲が良くても、その配偶者同士は他人なので、そこで争いが発生するケースを多く見てきたからです。
やはり遺言書は作った方が安心できるそうです。
自筆でも遺書は残すべき
遺書には自筆遺言と公正証書遺言の2種類があります。
足立さんは「自筆でも構いませんが、専門家にチェックしてもらうことをお勧めします」と話します。形式不備があると遺言としての効力が発生しないためです。
なお、自筆遺言に関しては相続時に「検認」という法的な作業が発生するので「その点は公正証書の方がスムーズかもしれません。どちらも一長一短といったとことでしょうか」
遺書以上に重要かも?
「全財産について整理しておくことをお勧めします」と足立さん。
「遺言を作らない場合でも、エンディングノートや、メモ帳でも良いので残しておくべきです」。遺族にとっては「どこにどんな財産があるのか」を調べるのは難しい場合がありあます。「●●銀行の●●支店に●●円ある」などの記載があると遺族も困りません。
「書きにくいかもしれませんが、負債がある場合はそれも書いておくべきです」。また、固定資産税の発生しない土地もあり、その場合は税金の請求も来ないので気づくことができないという心配も。
- 相続が発生した場合、事務手続きも膨大になります。名義変更や解約など、平日の昼間しか開いていない役所や銀行に行く必要も出てきます。そういった事務手続きも含めて、専門家は頼りになってくれそうです。