遺産相続をめぐるトラブル。あって欲しくないことですが、「遺言書」がなかったために、兄弟間や、親戚の間で「争続」に発展することも。残された人のために是非、遺言書は書いておきたいもの。遺言書作成のアドバイスをしてくれる行政書士の新井文人さんにお話を聞きました。
なぜ遺言書が必要なのか
遺産は残された親族で遺産分割協議(話し合い)をし、どのように分けるのかを決める必要があります。時には縁遠い親族が現れ、財産の分割を要求してくる可能性もあります。そうした問題を避けるためにも遺言書で、誰にどのような財産を残したいのかという意思を示しておくことが、残された家族のためにもなるのです。
子どもがいないケースで、兄弟のみならず、甥、姪までが関わってくることもあります。ほぼ他人のような甥、姪が関わるとトラブルになるケースが多いと言います。「実際に縁遠くなっていた兄弟しか相続人がおらず、亡くなって2年近くたつ今もまだ裁判をしているというような例もあります」。兄弟や親せきで裁判になると、関係性の修復も難しいので、そうならないように、事前に遺言書を残しておいた方が良さそうですね。
こんな人はぜひ遺言書を
ではどんな人が遺言書を残しておいた方がいいのでしょうか。
- 相続人がいなくて、特定の人や団体に財産を残したい人
お世話になった人、地元の地自体、病院、病気の研究のために使ってほしいなど、遺言書に残しておきましょう。何もしておかないと国庫に帰属、つまり国のものとなってしまいます。
- 連絡の取れない相続人がいる場合
遺産分割協議ができませんので、裁判所で「不在者財産管理人」を選任したり、「失踪宣告」をしたりして、法的に適切な対応を進める必要があります。
有効な遺言書があれば遺言書通りに財産を承継することができるのです。
- ペットに財産を残したい人
ペットは人ではないので、財産を与えることはできません。そこで、ペットの世話をすることを条件に、その世話をする人に財産を残すというケースもあります。
新井さんてどんな人?
川崎区出身。37歳。平成18年、日大法学部在学中に海事代理士登録し、平成22年に行政書士登録。現在は海事代理士事務所、行政書士事務所のほか、居酒屋の経営などをされており、多摩川の漁師でもあります。
- 「『身近な相談役』として地域に根差した活動をしています。お困りごとはお気軽にご相談ください」