高島台にある住宅型複合施設「しぇあひるずヨコハマ」がこのほど、開業して5周年を迎えた。同施設はオープンダイニングや畑などを設け、入居者や地域住民が交流できる場としてスタートしコロナ禍に入っても密を避けながら活動を継続。5月4日には、入居者が集まり5周年を祝った。
「しぇあひるずヨコハマ」は、(株)ここくらすの荒井聖輝代表が管理・運営を行う住宅複合施設。かつて神奈川宿が栄えた場所に位置し「21世紀の長屋・旅籠」をコンセプトに、入居者の住まいのほか、オープンダイニングや展望台、畑などを入居者や地域住民などに開放し、シェアできる場所として2017年4月29日に開業した。
同施設は、荒井代表の曽祖父が建てた築50年以上経つ2棟のアパートを改築したことで誕生。改築前は、建物が老朽化し、建築基準法の改正で売却もできない物件となり空き家問題に直面していた。解体も考えたが荒井代表の「人と人とがつながり、豊かな暮らしを共創していきたい」との思いから約8千万円かけて改築に踏み切った。
多世代のにぎわい創出
開業後は、荒井代表自ら、まちづくりや子育て、趣味などをテーマにオープンダイニングを活用してイベントを主催するなど、その時々で多世代が集いにぎわいを生み出す地域の拠点へと変化していった。また、敷地内にある畑は、周辺住民などと共有し、栽培・収穫を行ってきた。
2年前から新型コロナウイルス感染拡大の影響で状況が一変。イベントなどは、ウェブ会議に切り替え、入居者や周辺住民などの交流機会は減った。それでも密を避けながら入居者同士の助け合いが生まれたり、接触機会の少ない畑の作業は継続されるなど、人とのつながりは途絶えなかったという。
まん延防止措置が今年3月22日に解除された後は、少人数でイベントを実施するなど少しずつコロナ禍前の状況に戻ってきた。荒井代表は「社会状況の変化に左右される5年間だったが、開業時に思い描いた地域の拠点としての運営ができている」と振り返り「今後は地域のことを思う多様な主体に活用いただけるような施設運営を目指し、多世代が集う地域の交流拠点に戻していきたい」と意気込みを話した。