横浜市樽町地域ケアプラザ(藤塚政敏所長)は6月1日、図書の貸し出しサービスをスタートする。「たるちゃん文庫」と命名し、絵本や趣味の本など250冊を用意。担当者の小西美代子さんは「本をきっかけに、より多くの人に利用してもらい、地域の交流の輪を広めていきたい」と話す。
区内初の取組み
2階多目的ホール前のスペースに新設される「たるちゃん文庫」の名は、同施設のマスコットにちなんだもの。絵本や児童書から趣味本、小説まで250冊を取り扱う。一人3冊(2週間まで)を上限に、「子育て支援会場」「みんなのたまり場」「ちびたる」等のイベントに合わせて貸出日が設けられ、参加者に対して貸し出しを行う。利用者への一般図書の貸し出しサービスは、区内の地域ケアプラザでは初めての試みとなる。
開設を担ったのは、地域活動交流コーディネーターの小西美代子さんら5人のメンバー。樽町エリアには本を借りられる公共の施設がないことや、「以前所属したケアプラザで、貸し出しや本を使ったイベントが好評だった」(小西さん)ことから、構想を練った。
多世代交流の場に
蔵書は、横浜市立図書館での資料再生事業を活用し、同図書館で不要になった図書を再利用。冊数に限りがあるなか、「子どもはもちろん、大人でも懐かしさを感じられるから」と絵本など、多世代が幅広く楽しめるジャンルの本を選んだ。利用方法の説明や「たるちゃん」をあしらった手作りボードも設けられ、親しみやすい雰囲気に。
同施設所有であること等を示すシール貼りには、日ごろから施設で活動するサークルのメンバーらも参加。「借りたい本があるから、貸し出しが始まるのが待ち遠しい」といった声も聞かれたという。
「貸し出しの手続きなどで、職員と利用者の交流も深まる。子どもから高齢者まで、多世代の人に利用してほしい」と期待を口にする小西さん。自身の子育て経験からも、幼少期に活字に触れる大切さを感じたといい、「特に最近では、孫育てをしている高齢者の方も多い。一緒に施設に足を運んだり、持ち帰って読み聞かせをしたりしてもらいたい」と話し、本を使った新たなイベントの開催なども視野に入れる。
コロナ禍もあり、当面は貸出日など一定の制限があるなかでの運営となるが、「状況を見ながら、より多くの人たちに気軽に利用してもらえるようにしたい」と小西さん。「本をきっかけに、今まで以上にケアプラザを身近に感じてもらい、地域交流の拠点となっていきたい」と話した。