日本遺産の構成文化財の一つ「多摩織」に焦点を当てた新拠点「多摩織工芸館」が6月5日、八王子市内に開館した。八王子織物工業組合が管理する八王子繊維貿易館3階で、同市ゆかりの芸術家らによる構成文化財をテーマにした作品を展示。日本遺産の関連情報に触れられるほか、手織り機の体験講座が開かれる。
都内で唯一、日本遺産に認定された八王子市のストーリー「霊気満山 高尾山〜人々の祈りが紡ぐ桑都(そうと)物語」。多摩織を活用しようと、同組合と日本遺産「桑都物語」推進協議会の連携により開館が実現した。
月2回、開館
「日本遺産 桑都・八王子展」と称した作品展では市内在住や拠点のある芸術家11人が制作した絵画、彫刻、陶芸など11作品が展示され、7月以降の開館は第1土曜日と第3日曜日で、無料で入場できる。
同協議会の事務局を担う市日本遺産推進担当は「新しく施設をつくることはなかなかできない中、街中に拠点ができたことはありがたい」と期待を込める。
開館日に手織り体験
同館では開館日に合わせて、多摩織伝統工芸士の指導のもと手織りの体験講座を開講。予約制で1日2回、6人ずつを受け付けている。
例年はこの場所で年1回実施しており、初の通年開講となる。各回1時間半ほどで、同組合の手織り機を使用。できあがった織物は後日もらうことができる。伝統工芸士の一人、馬場照郎さん(78)は「昔からの織物の歴史がある八王子だが、改めてこのような場所があることを知ってほしい。体験は貴重な機会なので、楽しんでもらえたら」と呼びかけている。
詳細は同組合【電話】042・624・8800まで。