国の文化審議会は7月22日、小田原宿なりわい交流館=写真=(小田原市本町)を新たに登録有形文化財(建造物)とするよう、文部科学大臣に答申した。小田原市によると、市内の登録有形文化財は26件となる。
同交流館は1932年に建設された旧漁網店を再整備したもの。市が99年に建物を取得し、2001年9月に交流館として開館した。1階は無料の「お休み処」、2階はイベントスペースで、観光や交流の拠点として活用されている。
建物は、小田原の典型的な商家の造りである「出桁造(だしげたづく)り」。江戸時代から続く伝統的な建築方法で、太い桁を前面に何本も突き出し、そこに軒や屋根を載せている。かつては魚市場が隣接し、2階は漁具の作業場として使用されていたという。昔の旅籠の雰囲気を醸し出し、小田原の水産業の歴史的景観をいまに伝える貴重な建造物として親しまれている。
市担当者は「登録を機に、多くの人に小田原の歴史にさらに関心を持ってもらい、誘客を進められれば」としている。