【タウンニュース2023新春企画】藤沢市の 地域医療を考える 三師会連携「明けない夜はない」<座談会レポ>

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【タウンニュース2023新春企画】藤沢市の 地域医療を考える 三師会連携「明けない夜はない」<座談会レポ>

冬を健康に乗りきろう

新型コロナウイルス感染症は第8波に入ったと言われ、インフルエンザやほかの感染症との同時流行も懸念されている。本紙では「藤沢三師会」として活動する「藤沢市医師会」「藤沢市歯科医師会」「藤沢市薬剤師会」の各会長に、現在の状況や、心強い三師会連携、そしてこの冬を乗り切る健康の維持管理について聞いた。(取材日2022年12月9日)

気を抜かず感染予防を

第8波に入ったと言われる新型コロナウイルスの感染状況、現在のみなさんのご認識などお聞かせください。

鈴木 感染状況はこの号が出る頃はまだまだ増加傾向ではないかと思います。危機感を持っているのが、感染力の高いXXB型、感染速度が速いBQ1.1型などいろいろなタイプが出てきていますので、1度かかった人が再感染するケースも少なくなく、油断できない状況だと言えます。また、新型コロナウイルスは呼吸器の疾患という捉え方以外に、全身を巡る血管に障害をもたらすため、持病のある方だけでなく、持病がない方も感染予防を心がけなければいけません。

片山 三師会のみなさん同様、予想していた通りととらえています。1月中旬ごろにピークがくるのではないかと危機感を強めています。そんな状況下、予防接種の接種率が、医療・介護関係者や65歳以上の高齢者以外で伸びていないことが心配です。我々も患者さんと接する自分が媒介とならないように対策を徹底しています、皆さんにも予防を強く意識していただきたいと思います。

齊藤 感染状況としては、両会長のおっしゃる通りだと思います。薬剤師会として言えることとしては、片山会長が言われたように、予防接種の大切さだと思います。接種の現場では薬剤師も注射器へのワクチンの補充、充填でお手伝いをしています。自分はもちろん、周りの大切な人たちを守ることにつながる行為として受けてほしいと思います。

「かかりつけ」は健康のパートナー

―― コロナの影響で再び受診控えなどが気になりますが。

鈴木 持病に対する受診や定期的な健診はやはり大切です。そのためには、「かかりつけ」はとても重要だと考えます。普段から自分や家族のことを相談できる、健康状態を把握してもらえているのは心強いと思います。かかりつけがない方は、藤沢市の健康診査を通して見つけるのもひとつの手です。

片山 受診控えなどで1年、2年通院していない方は、口の中が大変になっているかもしれません。そうなると歯の問題だけではなく、細菌やウイルスを防いでくれる口腔内やのどの粘膜が破壊されてしまいます。定期的な受診でケアをして欲しいと実感しています。歯科医院では、コロナ禍の前から細菌、ウイルス対策を徹底しています。また、「かかりつけ」を作ると本人が気づかない変化も見つけることが可能です。口の健康は身体の健康と大きく関連しています。ぜひ、作っていただきたいと思います。

齊藤 同じように外に出にくくなって、普段飲んでいる薬を取りに来なくなることもあります。決まった日程で服用して効果がでるものですので、心配になることもあります。診察を受けて、処方せんに従って薬を飲むまでが治療。ご近所で「かかりつけ」を見つけてもらうと、お話を聞きながら服薬のアドバイスや健康面でのアドバイスもできます。薬剤師会では「おくすり相談薬局」として、健康相談から受診のアドバイスなど幅広くお受けできる薬局を増やしています。気軽に相談できる存在として利用していただきたいと思っています。

地域の安心を提供 三師会連携

―― 地域医療の質を上げるため、在宅の分野など三師会の連携の強化が進められていますが。

鈴木 市民の方が安心して暮らせるネットワークとして三師会を中心に多職種の連携があります。コロナ対策の合同会議をはじめ、在宅医療の現場では、チームとして情報共有しながら医療サービスを提供しています。ご高齢の方はもちろん、医療的ケア児、災害時の対応などもより強化していく必要があります。

片山 充実した連携体制が取れていると思います。例えば血が固まりにくい患者さんに対しての治療では、昔は対応が難しかったのですが、医師会との情報共有で対応できるようになったなど、連携してトータルで質の高い医療サービスを届けることができていると感じます。またそれとは別に市内で摂食嚥下に対応する施設があります。そこでは歯科医や管理栄養士、耳鼻科の医師、理学療法士などそれぞれの垣根を越えて対応しています。

齊藤 このコロナ禍を乗り切ろうと三師会の連携気を抜かず感染予防を「かかりつけ」は健康のパートナー地域の安心を提供三師会連携はとても深まったように思います。市民のためにどうしたらいいのか、議論をしてきた結果だと思います。薬の出し方ひとつでも、医師と情報共有して最適さを求めていく。藤沢市はより関係性が強いと感じます

冬の健康管理ポイントは

―― 新型コロナとインフルエンザの同時流行、ツインデミックなど、冬の健康管理のポイントは。

鈴木 先ほどお伝えした通り、健康診査が大切です。また、コロナだからといって家にとじこもるのではなく、身体を動かすということを意識して欲しいです。散歩などをされるのもいいと思います。また、市で進めている各地の公園などで行われている健康体操など身体を動かす機会は地域にたくさんあります。ぜひ活用していただきたいと思います。

片山 口の乾燥が大敵です。50種類のホルモン補助酵素で感染を防ぐ唾液はとても重要。口腔内の粘膜や喉の粘膜が乾くと簡単にウイルスが入ってしまいます。「乾いているな」という方には「唾液腺」マッサージをぜひ、試してください。また、オーラルフレイル(口の衰え)予防も大切。上手に食べられないと感じたら市のホームページにあるチェックシートの活用や歯科医に気軽にご相談ください。そして基本のキの歯磨き。うがいより効果があると言われます。欠かさないようにお願いします。食べられなくなったらそもそも身体が作れません。

齊藤 地域の薬局を健康相談所として活用してください。「おくすり相談薬局」は皆様がお住まいの地域にあります。我々は処方せん調剤だけではありません。日頃からの健康のお悩み事から疑問点など可能な限りお応えして行きたいと思っています。もちろん三師会連携がありますので、そこから医院、歯科医院へのご紹介も可能です。「薬や健康管理について気軽に相談できる地域の健康ステーション」が我々です。ぜひお気軽にお立ち寄りください。

市民へのメッセージをお願いします

片山 定期的な口腔健康管理とセルフケア、この両輪が口の健康、引いては身体の健康につながります。不安な点などお気軽にご相談下さい。

齊藤 ご近所付き合いのように気軽に頼っていただけるよう、これからも力を尽くしていきます。

鈴木 コロナ禍で皆さん大変な思いをされていると思います。ただし「明けない夜はない」。市民、行政、三師会で手を携えて乗り切っていきましょう。

住所

神奈川県藤沢市

公開日:2023-01-01

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