「よこすか海軍カレー」「ヨコスカネイビーバーガー」で知られる横須賀グルメに新顔が登場しました。その名も「横須賀開国メシ」。
日本の歴史を大きく転換させたペリー艦隊の「黒船来航」(1853年)にちなんだメニューが思い浮かびますが、まさに! それ!! 幕府に開国を迫ったその翌年、久里浜の地に上陸したペリー提督らに饗されたとされるメニューを大胆にも現代風のアレンジを加えたて登場させた創作料理です。
歴史を切り口にした観光集客に取り組む、横須賀集客促進・魅力発信実行委員会が発行したフリーガイドブック『横須賀人』の中で紹介しているもので、人気料理研究家のきじまりゅうたさんがレシピを考案しています。その味やいかに─。
まずは、フリーガイドブック『横須賀人』を開いてみる
『横須賀人』は、歴史エンターテインメントマガジン、月刊『歴史人』(発行/㈱ABCアーク)のプロデュースで発行された冊子です。表紙には、「横須賀の歴史再発見!」とあり、これまであまり深く知られていなかった古代から近代までの横須賀の歴史をディープに掘り下げることに主眼を置いた編集になっています。
ヤマトタケル伝説と伝承のゆかりの地である「走水神社」の成り立ち、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で一躍脚光を浴びるようになった「武将三浦氏」の史跡めぐり、文豪・島崎藤村が自身の父親をモデルにして著した作品『夜明け前』に描かれているペリー来航直後の横須賀の様子など、視点がとてもユニーク。
『歴史人』でもおなじみの研究者や歴史作家が執筆を担当しており、マニアの知的好奇心を刺激するエピソードが随所に散りばめられています。発行部数は1万部。京急「横須賀中央」駅近接の横須賀市観光案内所や市内主要観光スポットに配架されています。
100年早かった。異国の人たちに敬遠された日本食
では、本題の「横須賀開国メシ」。
『横須賀人』の中では、見開きのレイアウトで大々的に紹介されています。当時、ペリー提督の一行をもてなしたのは武蔵国(現在の神奈川県川崎市・横浜市あたり)の横浜応接所。横浜や浦賀の料理人が協力して米艦隊の将兵約300人分と接待する日本側200人分、計500人分の料理を用意し、饗応の宴が盛大に開かれたといいます。ただ、食卓に並んだ豪華な本膳料理(正式な場で振る舞われる日本料理)は、魚が中心。今でこそ、寿司や刺身などが海外でも受け入れられていますが、異国の人たちは生魚料理に恐れおののいたそうです。一方、煮物や揚げ物には箸をつけて大満足したようです。
そこで、一ひねり。
ペリー提督も箸が止まらなくなるような饗膳メニューを、横須賀で穫れる野菜や海の幸で再構成してみる──料理研究家のきじまりゅうたさんの出番です。
ダジャレが効いている「アジ麩ライ」
きじまさんが考案したのは、東京湾・走水で水揚される脂がのったアジをメインにした料理。粗く刻んだそれに豆腐を混ぜて撹拌してから一口サイズに成形し、麩をまぶし付けて油でカラリと揚げます。麩には植物性のタンパク質が豊富に含まれており、肉の代用品としても注目されている食材。少ない量でも満腹感が得られるなど、ダイエット効果もあるとのことです。
ペリー提督がヘルシーな料理を求めていたかどうかはわかりませんが、日本の食事が味だけでなく、長寿につながる健康食であることをアピールする場になるでしょう。
実際に食べた感想としては、もっちりとした食感であとを引く美味しさ。アジの旨味もしっかり感じられ、ご飯との相性も抜群でした。タルタルソースをかけて頬張るのが正解。一口サイズのため、いくらでもいけそうな印象でした。
今回は『横須賀人』の登場スポットをめぐるモニターツアーで、くりはま花の国内にある「うおくに花の国店」の特別メニューとして提供されました。この先も同様のツアーが実施予定となっており、「横須賀開国メシ」も目玉のひとつにしていくそう。歴史と文化にひもづく食の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。