神大寺小学校6年4組の徳長奏佑君が3月2日、道路の管理などを行う神奈川土木事務所(西嶋祐一所長)=神大寺=から感謝状を受けた。徳長君は、登下校時に自宅から小学校までの通学路でごみ拾いを実施。1年以上継続している姿が同土木事務所の職員の目に留まり、感謝状の贈呈に至った。
登下校時にランドセルを背負い、手にはバケツとトングを持ちながら、落ちているごみを集めていく。徳長君が2021年12月から毎日欠かさず、1年以上継続している取り組みだ。
映画を鑑賞し行動へ
4年生のときに、アメリカの小学生が世界的なプラスチックの汚染問題を学び、自らアクションを起こしていく映画『マイクロプラスチック・ストーリー〜 ぼくらが作る2050年』に出会った。徳長君は「人間が生み出したマイクロプラスチックを魚が食べて、それを人間が食べていることに危機感を感じ、何かできないかと思った」と映画の感想を話す。
その後はこの映画のイベントなどに参加し、同じ思いを抱く同年代の子どもたちとふれあうなかで、「自分でもできることを実践したい」と登下校時の通学路でごみ拾いを始めた。
ごみ拾いは、自宅から学校までの通学路約300m、歩いて約6分の距離で実施。ごみの種類はたばこの吸い殻や缶、ペットボトルなど。拾ったごみは、自宅で写真を撮り、分別して捨てている。この活動を継続していくなかで、缶やペットボトルのごみは減ってきたという。
登下校時にごみ拾いをする徳長君の姿を見て一緒に手伝ってくれる4年生の弟・瑞己君や友達もいたが、時には揶揄する心無い声もあった。それでも、徳長君の継続したい思いや「この活動は奏佑にしかできないことだよ」と母・佳代子さんからの励ましの言葉などもあり、毎日続けてきた。
神奈川土木事務所から感謝状が贈られたのは、ごみ拾いをする徳長君の姿を職員が発見したのがきっかけ。「毎日ごみ拾いをしている小学生がいる」とたちまち事務所内で話題となり、道路を管理する土木事務所として徳長君に感謝の気持ちを伝えられる場がないかと模索してきた。
感謝状の贈呈は3月2日、同小の校長室で実施され、徳長君と母・佳代子さんをはじめ、同土木事務所の西嶋所長、太田正寿校長らが出席した。感謝状を徳長君に手渡した西嶋所長は「道路を管理している私たちにとって徳長君の行動にとても感謝しています。中学生になっても、まちの美化に貢献いただきたい。期待しています」と感謝を述べた。そして同土木事務所からは、トングのプレゼントも。徳長君は「この感謝状は、手伝ってくれた弟や友達と一緒に手にできたもの。環境問題に興味があるので、中学生になってもこの活動を続けていければ」と前を見据えた。