【記者取材レポート】新型コロナ5類感染症に引き下げ、何がどう変わる?川崎市健康安全研究所・岡部信彦所長に聞きました

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【記者取材レポート】新型コロナ5類感染症に引き下げ、何がどう変わる?川崎市健康安全研究所・岡部信彦所長に聞きました

 令和5年5月8日から新型コロナウイルスが、季節性インフルエンザなどと同じ5類感染症に引き下げられます。一体何が、どのように変わるのでしょうか。厚生労働省専門家会議のメンバーでもある、川崎市健康安全研究所・岡部信彦所長を取材し、知っておくべきポイントをまとめました。

【重要】「新型コロナが5類に移行=注意をしなくてよい病気になった」わけではない。

「5類になったからといって、注意をしなくてよい病気になったわけではありません。5類感染症でも、重症な感染症、致命的な感染症などはあります。インフルエンザのように基本的には軽いけれど非常に広がりやすい病気もあれば、エイズなどのように感染はしにくいけれどいったん罹れば生涯薬を飲み続けないと死に至るような病気なども入っていて、軽くて気にしなくて良いのが5類、というわけではないのです。そこを一番誤解しないでいただきたい」と岡部所長は強調します。

岡部所長は「インフルエンザが流行すれば、クラスや学校が休みになることがあります。できるだけ、自分が感染しないように、感染したら人に広げないように、という注意は5類になっても必要なことです。未知、未経験であった新型コロナの感染が拡大し始めたころに比べると、治療薬やワクチンが開発・導入され、人々の注意などが行き届いてきた、さらにウイルスの変異などさまざまな変化から重症度や致死率は下がってきました。したがって軽く回復する人が多く、身近なところで重い人が見当たらないのでこれは大丈夫と思うかもしれませんが、感染症が大きく広がってくれば、割合は小さくても重症化する人、亡くなる人の数は多くなります。できるだけ感染の広がりは抑えるようにしなくてはいけません。そこはみんなで注意しなくてはいけないところになります」。

一番、岡部所長が懸念しているのは「コロナが軽い病気に成り下がって、もうなにもやらなくていいと思われること」だといいます。そのような誤った認識が広がることを危惧しています。

これらを前提に、5月8日以降の5類移行は、身近なところでは一体何が主に変わるのでしょうか。

5月8日以降の主な変更点は、3つあります。

  • 新型コロナ感染者の外出等の制限がなくなること。
  • すべての感染者の登録や健康観察などがなくなること。
  • 治療費に一部自己負担が生じること。

もしも、発熱してしまった場合は、どうすればよいのでしょうか?

画像はイメージです

これまでの「発熱診療等医療機関」に加えて、幅広い医療機関で受診が可能になります。また、受診可能な医療機関は、ホームページで公表しており、川崎市ホームページから医療機関の情報を確認できます。ウェブサイトで「川崎市 発熱」で検索しましょう。また、新型コロナウイルス感染症・ワクチン接種コールセンターでは、以下の3点を相談することができます。

  • ①発熱時などの受診相談
  • ②陽性判明後の体調急変時の相談
  • ③コロナワクチン接種後の副反応、接種証明などに関する相談

【コールセンター】
044-200-0730
24時間・年中無休です。(令和5年5月5日時点)

医療機関の受診時は?

医療機関を受診する時は、治療費は一部自己負担となります。他の病気と同じ健康保険の診療になりますが、高額な抗コロナウイルス薬などは令和5年9月末まで無料です。

入院したら?

他の疾病と同じ健康保険診療となり、入院費用は一部自己負担になります。新型コロナ治療のための入院医療費は、当面令和5年9月末まで、高額療養費の自己負担限度額から2万円を減額します(2万円未満の場合はその額)。

岡部所長は「基本的には、保険診療でまかなわれることになりますが、これまでもあまりに治療費が高いものは、公的な負担がされています。今のコロナウイルス治療薬は高く、『負担できないから』と治療を避けてしまう人が出てきてしまっては、その人にとっても地域にとってもよくないことです。だから、そこは公的な補助、つまり皆の税金でまかないましょうということですね」と見解を示しています。

療養中は?治ったら?

「法律などで決められる外出の制限はなくなりますが、病気の間は安静に、治すようにすることは他の病気と同じです。発症後5日間は他人に感染させるリスクが高いため、人にうつさないように外出などを控えることが推奨されています。なお、発症後10日間はまだ感染させる可能性が残っていることがあるので、人にうつさないためのマスクの着用、高齢者などのハイリスク者との接触は控えるなど配慮していただくと、有難いです」と岡部所長は話します。

さらに「病気であれば、軽くても家で静かにして治す、あるいはこじらせないように注意する。インフルエンザも罹ったなら『家で休んでください』となるでしょう。それは自分を治すことが一番ですが、友人や同僚、学校や仕事先で『もしかしたら、うつすかもしれないから注意しよう』という思い。その気持ちはさらに見知らぬ人にもうつさないようにするということにつながります。それは人に対する気遣い・優しさの現れなので、世の中全体でそのような気持ちになってもらえればなあ、と思います」と語ります。

画像はイメージです

療養中の体調相談は?

かかりつけ医、市ホームページに掲載されている医療機関、またはコールセンターに相談しましょう。

【コールセンター】
044-200-0730
24時間・年中無休です。(令和5年5月5日時点)

日頃からどう準備しておけば良いでしょうか?

発熱などの体調不良時に備えて、

  • コロナ抗原検査キット(医療用または一般用) 
  • 解熱鎮痛剤

などを準備しておきましょう。

市販の解熱鎮痛薬の選び方は、厚生労働省のホームページにも公開されていますので、参考にしましょう。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00404.html

画像はイメージです

コロナのワクチン接種は5月8日以降、どうなるのでしょうか?

引き続き自己負担なしで受けられますが、重症化予防が目的のため、8月までの期間は対象者に該当する人のみ、ワクチン接種を受けることができます。対象者を絞る理由については「高齢者など、ハイリスクの人が一番、場合によっては死に直結してしまいます。ですから、そのような人を『優先して先に免疫を付けてもらおう』ということです」と岡部所長は述べます。

【対象者】

  • 65歳以上の人
  • 12歳から64歳で基礎疾患がある人等
  • 医療機関・高齢者施設に勤めている人
  • 初回接種が済んだ5歳から11歳のうち、オミクロン株対応ワクチン未接種の人、基礎疾患がある人等
  • 初回接種を完了していない人(生後6ヶ月以上)

※クリックで資料拡大できます。

接種券は、オミクロン株対応ワクチンを接種済の全ての方に、順次発送されます。今回の対象者でない人は9月以降に接種を受けることができますので、接種時期が来るまで大切に保管が必要です。

ワクチンの予約方法は3つあります。

新型コロナウイルスワクチン予約コールセンター
 0120-654-478

 FAX(耳の不自由な方のお問合せ用)
044-953-6339

これからの身近な感染対策として「感染防止の5つの基本」が示されました。

①体調不安があるときは、無理せず自宅で療養あるいは受診しましょう。

②その場に応じたマスクの着用や、咳エチケットに留意しましょう。

③換気、3密の回避は引き続き有効です。

④手洗いは日常の生活習慣にしましょう。

⑤適度な運動、食事などの生活習慣で健やかな暮らしを送りましょう。

感染防止の5つの基本に込めた思いとは?

2020年5月、新型コロナが広がり始めた時に、人との間隔はできるだけ2m(最低1m)空けるなど、具体的な感染対策を示した「新しい生活様式」がありました。

岡部所長は「当時は、コロナがまったく未知のもの。薬もワクチンもない。だから、生活の中の制限で防ぐしかなかった。そのために、基本的な対策と具体的な例が示されました。だが、最初は止むを得ないにしても、状況が変化してきたにもかかわらず、かっちりとした例示をいつまでも残しておくわけにはいかない。でも、全部もういりません、やめましょうというわけではないので、感染症に対する基本的な注意を改めて示そうとしたものです」と強調します。「5つの基本を見て、ちっとも新しくないと思う人は多いでしょう。まったくその通りです。これまでのインフルエンザやノロウイルスなどの時の注意を思い出してください。感染症の対策として、基本的に大切なことで、普段から身に付けてほしい5つなのです」と思いを語ります。

特に①の「体調不安があるときは、無理せず自宅で療養あるいは受診しましましょう」について、岡部所長は、「具合が悪いときは休む。本人だけでなく、周りがそれを当然と思うようにならないとできないことです。休むことは本人のためにもなりますし、仕事先や学校などの人が集まる場所での感染の広がりを防ぐことにもつながります。職場や学校などは体調不良による休暇などを取得しやすい環境づくりが大切。それが本当の豊かな社会、ではないでしょうか。もちろん、治ったら、『元気でまたやってよね!』って話です」。

岡部所長からのメッセージ

「感染症は病気。気を付けないといけないところはある。注意しなくてよいわけではない。でも、むやみに怖がりすぎてもいけません。基本の5つ。急にやろうとしてもできません。普段の生活からぜひ身に付けておいてほしい。新型コロナウイルス感染症に罹っても多くの人が軽く済むようになったのは、良いことです。しかし、基礎疾患などがある弱い人や高齢者は重症化することもある。みんなで少しずつ抑えていこうとすることは意識として大切。手洗いなど、日常の中でできる何気ないことを一つひとつ身に着けて、コロナやその他の感染症と向き合っていきましょう」と呼びかけています。

住所

神奈川県川崎市

問い合わせ

川崎市新型コロナウイルス感染症・ワクチン接種コールセンター

電話

044-200-0730

044-200-0730

(24時間、年中無休)

新型コロナウイルスワクチン予約コールセンターは0120-654-478(午前8時半~午後6時対応、年中無休)/FAX(耳の不自由な人のお問い合わせ用)044-953-6339へ。
※掲載されている情報は、令和5年5月5日時点のものです。

公開日:2023-05-05

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