三浦半島に点在する38寺院で12年に1度だけ一斉に地蔵を見られる「三浦三十八地蔵尊卯年御開帳」が、5月24日(水)まで行われている。この時期にしか厨子の扉が開かない秘仏もあり、寺院関係者は「地蔵は本来、身近な仏様。世界平和や疫病退散など、貴重な機会に祈願してもらえれば」と呼び掛けている。
江戸時代前の古くから、三浦半島には巡礼信仰があった。修行者や信者が寺院を巡り、参拝の証に「御宝印」をもらったことが始まりで、現在でも市内10寺院が札所となった「三浦三十八地蔵尊」のほか、「三浦三十三観音霊場」「三浦二十七不動尊」などで御開帳と巡礼が行われている。
地蔵尊は地蔵菩薩とも呼ばれ、一般的に「お地蔵さん」の愛称で親しまれている。その身なりは質素。地蔵の「地」は大地を表しており、生命を育てて浄化・再生する力を持つとされる。御開帳された地蔵尊の中には、国の重要文化財に指定されているものもある。
「地蔵」と一口にいっても特徴は様々。大松寺(小矢部)のものは小さく、傳福寺(久里浜)のものは大きく、浄楽寺(芦名)と和田義盛に由来する「和田地蔵」がある西徳寺(鴨居)には石地蔵があり、各寺院にある縁起を学びながら巡るのも楽しみの一つだ。
御開帳初日の4月24日午前、三樹院(上宮田)には10人以上の参拝者が訪れた。子どもをモデルにした丸顔の地蔵が多いが、ここには面長な大人の地蔵がすっくと立っている。今井正純住職は「前回は東日本大震災が起きてすぐの2011年だったこともあり、余震が続く中で多くの方が安全を願っていた。一つひとつ表情の違う地蔵を見つめて延命長寿を祈願することで、少しでも心が救われれば」と話した。
参拝は午前8時から午後5時。本尊に礼拝後、地蔵尊に手を合わせてから御朱印をもらう流れ。御朱印帳は1200円、御朱印料は300円。
詳細は公式HP【URL】https://miurajizo.net/