【多摩川のプロフェッショナル】多摩川、地域をこよなく愛する竹仲密昭さんの活動を探る

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【多摩川のプロフェッショナル】多摩川、地域をこよなく愛する竹仲密昭さんの活動を探る

「多摩川」軸に、楽しさ発掘

川崎河川漁業組合に所属し40年以上。現在はそのリーダーとして、鮎やウグイの放流、川の清掃、多摩川鮎の塩焼き販売など漁業の可能性を探ってきた。「釣り人が多摩川を楽しむ風景が最高。そのために川を良くしていきたい思いは、昔から変わることはない」。組合員は川崎市内200人ほど。「せっかくなら楽しく活動して300人くらいに増やしたいね」と笑顔をみせる。

入会は高津区二子に引っ越したとき。「目の前に多摩川があったことが決め手」というほどの釣り好きで、当時の地区長から誘われた。「『多摩川は汚い』というイメージを払しょくしたい」。そんな思いで多摩川で釣れた鮎の塩焼きを祭りなどで販売している。「これが大好評でね」とニンマリ。組合員が釣った鮎を買い取り、自前の冷凍庫に保存。「鮎が売れるとなれば組合員の活動の士気も上がる」。

生まれは福井県。近所には耳川が流れ、「釣りをやらない理由がない」という環境で育った。高校卒業後に上京し家電販売店、電気設備資材を扱う会社を経て、25歳で「昭栄電工社」を起業した。生業に勤しむ一方で、高津第三地区民生委員・児童委員協議会の会長や川崎西プロバスクラブの幹事など地域活動にも精力的に取り組んできた。

現在は会社を息子に引き継ぎ、「70を過ぎたら好きなことをやると決めていた」という現役当時からの想いを実践。「最近はドローンをやり始めた」のだとか。「新しいことに挑戦するのはボケないしいい。反対しない家族のおかげだね」と、いきいきとした表情を見せてくれた。

毎年4月下旬に多摩川でアユの放流を実施

竹仲さんが組合長を務める川崎河川漁業協同組合では、多摩川における増殖事業の一環として、毎年4月下旬にアユの放流を実施。例年約1万5千匹の稚魚を多摩川に放ち、毎年6月1日のアユ釣り解禁日まで生育。解禁日以降は地元の太公望を喜ばせている。

小学校に「おすそ分け」も

 多摩川のアユは、令和元年東日本台風の影響で一時期、遡上数が激減したものの、近年ではかなり回復基調。竹仲さんは「より多くのアユ釣りファンに多摩川を訪れてもらえれば」と思案を巡らせ、2022年7月には8千匹の「アユ追加放流」を実施。放流当日、高津区宇奈根の河川敷に稚魚を積んだトラックが到着すると、組合員らは稚魚を放流する準備に着手。ホースから勢いよく放流される稚魚を見守った。

 放流された稚魚は体長7cmほどのものが多く、その量は約8千匹(約130キロ)。数カ月で約20cmほどに成長する見込み。また放流前には平間小学校(中原区)の教諭が、児童の観察用にとアユを数十匹「おすそ分け」される場面もみられた。同校では当時「校内の水槽で観察と生育を行い、ある程度大きくなったら学校近くの多摩川流域に放流したい」と話していた。

長年の功績に「大臣表彰」民生委員22年、労ねぎらう

竹仲さんは、2022年12月都内で行われた「全国社会福祉大会」で厚生労働大臣から表彰状を贈られた。

これは、地元の民生委員や児童委員として長年にわたる功績を認められたもの。竹仲さんは民生委員一斉改選を機に22年間にも及ぶボランティアを退任した。またこの間、社会福祉協議会の一員としても各方面で活躍。民生委員としては「子育てサロン」の開催や、一人暮らしの高齢者などの見守り活動等に尽力。2019年、区内に甚大な被害を及ぼした前出「令和元年東日本台風」の際には、社会福祉協議会のメンバーらと共に、炊き出しを実施した。さらに障がい者福祉などにも注力する傍ら、地元中学校からの要請を受け入れ、生徒に道徳を説く即席の授業を担当するなど、多岐にわたり地域貢献を重ねてきた。

22年間務めた民生委員退任を機に贈られた数多くの感謝状、表彰状を手にする竹仲さん

川崎河川漁業協同組合のリーダーとしての役割と、地域活動の「二刀流」を全うし続ける竹仲さん。四半世紀近くの活動を振り返り「これからも暮らしやすい社会を目指して、できることを続けていければ」などと話している。

毎年6月1日は太公望が待ち侘びる「アユ釣り解禁日」

多摩川では「アユ釣り解禁日」(毎年6月1日)を前に、恒例の「試し釣り」が行われている。これはアユの生育状況を確認するために行うもの。2023年の試し釣り(5月22日)には、川崎河川漁業協同組合に所属する高津地区の組合員が参加。東名高速道路下から新二子橋までの複数地点で、午前9時から約3時間かけて竿をふるった。

気温28度、水温24度の晴天下で実施されたこの日の試し釣りでは、特に宇奈根地区での釣果が良好で、二子橋上流付近での釣果はいま一つといった様子。18センチサイズ(約50グラム)のアユが最も多く釣り上げられており、これには関係者も「生育状況はまずまず、といったところ」と満足げな表情。高津地区としての釣果は64匹で、数の面でも例年との比較で「まずまず」だという。

多摩川でのアユ釣りは遊漁券が必要

なお多摩川でのアユ釣りは遊漁券が必要。市内の釣り具店などで購入でき、徴収された遊漁料は同漁協組合費などと合わせて魚類の増殖や環境維持の活動等に使われている。

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住所

神奈川県川崎市高津区

問い合わせ

川崎河川漁業協同組合

公開日:2023-05-31

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