横須賀市は観光振興の目玉施策としていたインターネット上の仮想空間「横須賀メタバース」を活用して、10月27日にドブ板通りと三笠公園付近を模した空間をオープンさせた。市内観光名所を再現したもので横須賀を疑似体験してもらう事で、実際に訪れる観光客を増やす狙い。特にITと親和性の高い若年層やメタバース領域を利用する人が多い海外ユーザーなどに焦点を当てる。事業費として市は当初予算に5千万円を計上している。
メタバース内では、自身の分身となるアバターを自由に動かし、空間内に入室している他者との会話や、疑似的に食事をしたりして楽しむことが出来る。さらにVRゴーグルを使用することで、より没入感のある体験が可能となる。
この仮想空間の一室として今回市が提供するのが「DOBUITA&MIKASA WORLD」。ドブ板通りの地面の起伏から実際に存在する空き地まで再現した空間では、横須賀名物「よこすか海軍カレー」や「ヨコスカネイビーバーガー」なども登場し自身のアバターに食事させることができる。また、アバター用の「スカジャン」のデータを同ワールド内のブースで無料配布する。「横須賀市独自のコンテンツをアイテムにすることで、拡散したくなるように作った」と市の担当者は話す。利用者が他のワールドでもスカジャンを着用することで、間接的に市のPRにつなげる狙いもある。
多様な催しを行う場として開設されている三笠エリアでは、音楽イベントを11月4日㈯に実施する。様々なコンテンツを通じた利用者の交流で魅力的な先進都市のイメージにつなげる。
細部に光豊富な仕掛け仮想空間のどぶ板通りの飲食店では、トマトやバンズなどの食材を用いて、ヨコスカネイビーバーガーを作る工程も体験可能。空間内の人にふるまうことも出来る。
近未来感を堪能
同ワールド内は実際の場所を精巧に再現した空間ではない。頭上にはモノレールや空飛ぶ家、宙に浮いた記念艦三笠など、現実と空想が入り混じる近未来をイメージした横須賀を味わえる。市の担当者は「ここにしかないものをつくることで、何度も足を運んでもらえる場にすることを意識した」と話す。
VR通じ教育支援
市は同ワールドの展開のほかにも、今後はVR技術に関する市民向けのスクールを実施していく予定。具体的にはプログラミングツール「ユニティ」や3D製作ソフト「ブレンダー」を用い、同空間内で使用できる自分好みのオリジナルアバターなどを作成する講義を行い、ICTスキルの向上にも役立てる。