【取材レポ】横浜市泉区が誇る伝統文化「横浜いずみ歌舞伎」がもっと好きになる

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【取材レポ】横浜市泉区が誇る伝統文化「横浜いずみ歌舞伎」がもっと好きになる

 泉区民有志が組織する「横浜いずみ歌舞伎保存会」。1996年、泉区区制10周年を記念して誕生しました。2023年10月14・15日には第26回公演が泉公会堂で開かれ、「仮名手本忠臣蔵六段目『勘平腹切りの場』」、「釣女」の2作を上演しました。

第26回公演

 「勘平腹切りの場」は小気味の良い啖呵を切る判人源六、遊郭を差配する祇園一文字屋の女将お才、身を売られながら夫や両親を甲斐甲斐しく世話にをするお軽、舅の与市兵衛の命を奪ったのではと悩む勘平、犯人は勘平だと疑う義母おかや・・・。人を思う心と誤解が入り交じり、最後は言い得ぬ悲しみに包まれる悲劇の名作。

 一方、「釣り女」は狂言を元にして作られた芝居で、妻を授けてもらおうとお参りに出かけた大名と太郎冠者、釣られる女二人・・・。終始笑いに包まれた演技で会場を楽しませた。

素人が名演技

 これらを演じるのは皆さん素人。80歳代のシニアや会社員、市会議員、先生、学生など年齢も職業もさまざまな区民が玄人はだしの舞台を作る。たまにセリフを忘れて、教える小さな声が聞こえるのはご愛敬だが、皆さん指先から声の調子まで少しでも歌舞伎役者のそれを自分のものにしようと稽古を繰り返し、本番を迎えた。

 例年4月ごろから稽古が始まる。最初のころは「あれ、どうやって動くんだっけ」「セリフが飛んじゃった」などミスも許されながら稽古が続くが、あと2カ月、1カ月と本番が差し迫ってくると雰囲気も変わり、一つ一つの動作が洗練されてくる。

 本番直前ともなると指導者から「こんな芝居で舞台に上がるんですか」「今まで何を覚えていたのですか」など厳しい声があがる。素晴らしい舞台にしたいという皆さんの気持ち一つになり本番を迎える。

指導者の目

  これまで長く続けてこれたのも指導者の存在は大きい。演技指導する嵐橘三郎氏や中村吉三郎氏は歌舞伎座など大歌舞伎に出演する現役の歌舞伎役者。浄瑠璃の竹本三桝太夫氏演技指導の堀内紀宏氏も熱心に指導する。

 堀内氏は「私が伝えたいのは我流の歌舞伎ではなく、伝統芸能本来の素晴らしさ」ときっぱり。そして「皆さんが演じようとする情熱を形にするのが私の役目」と話す。だから、洗練された所作、振る舞いを求めて声が大きくなることもあるという。いずみ歌舞伎だけでなく他の場所でも地歌舞伎を教えている堀内氏は「演者だけでなく指導者の高齢化も課題」とし、「地域の伝統芸能の継続は住民にとって大きな財産。受け継がれるようお手伝いしたい」と意気込む。

裏方は縁の下の力持ち

 舞台を成功させるためには演者だけでなく裏方の力も大切。下の写真は六段目のひと場面。勘平やお軽らが暮らす狩人の居間を再現している。

ここに写っている生活用具はほぼ全て手作りのもの。制作するのは小道具担当の岩間一彦さん。火鉢や煙草盆、日本刀などのほか、人を乗せる駕籠も手作り。

今回の舞台で使用した火縄銃は本物と見間違うほど。「ケースに入れて持ち運ばないと捕まっちゃうよ」と言われるほどだ。材料は工務店から分けてもらった木材や落ちているビニール傘などお金のかからないモノばかり。「どうやって作ろうかな」と悩んでいるときが一番幸せな時だそう。

岩間さんは手先が器用で羨ましがられるが、「やろうと思えば誰だってできるよ。『できない』って思いこんでいるだけ」と話す。そして「歌舞伎など地元の伝統芸能も一緒。『できない』ではなく、自分でできることをはあるはず。それを楽しめばいい」という。毎年観に来ることも地元の伝統芸能を応援することになる。

メンバーを募集

 横浜いずみ歌舞伎では役者はもとより、衣装・裏方などスタッフメンバーを募集している。「難しそう」「歌舞伎なんて見たことない」という人でも大丈夫。歌舞伎に興味のある人、歌舞伎を知りたい人、地域に参加したい人などちょっとでも関心があればご連絡を。下記の問合せフォームからお問い合わせ下さい。

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    公開日:2023-11-30

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