いろんな地域から集まったたくさんの女性陣が、何やら必死に手を動かしています。これはユズの皮むき作業。ここから何が生まれていくのでしょうか?大人たちによる神奈川県松田町・寄(やどりき)地区への「遠足」をレポートします―。
はじまった、まつだ大人の遠足―
松田町は、まちづくりや町の課題解決に広く参加できる仕組みを通してまちのファンを増やし、高齢化による担い手不足の解消や、将来的な移住・定住人口の増加につなげようと、様ざまなイベントを企画しています。その一つが「まつだ大人の遠足」。町の魅力はたくさんありますが、豊かな自然はよく知られたところ。今回の行先は、神奈川の秘境とも呼ばれる寄地区。ユズ畑から始まる精油づくり編です―。
使い切れないユズ、神奈川なでしこブランドへ
松田町のような中山間地域では、ユズやみかんなど、傾斜を利用した柑橘栽培が盛んでした。しかし、地域の高齢化が進むにつれ担い手が減り、実はつくものの、収穫できずにそのままになってしまっている木が増えていました。
これに目をつけて「何かできないものか」と考えたのが「アロマ&ハーバルスクール kukuna」代表の髙橋久美子さん。香りのよさと安定した収穫が期待できることから、アロマの商品開発に取り組んだのです。
そこから生まれたのが、ユズ精油、ユズのルーム&リネンウォーター、練り香水など。瞬く間に人気が出て、認知も広がり、今では女性が開発に貢献した優れた商品を認定する「神奈川なでしこブランド」、そして町の特産品として「松田ブランド」にも登録されています。
ユズを通して、町を知る―
今回は、このユズ精油の生産過程を通して、松田町を深く知ってもらい、最終的には好きになっていただく企画です。プログラムにも地元住民との交流会が含まれています。町によれば、驚くほどの反響があり、急遽開催日程を追加。最終的に3日間で約80人の参加者が集まりました。
- 参加者の住まいは首都圏エリアが多く、もともと松田町を知っていたという人もいましたが、全く初めてという人も少なくありませんでした。
申し込みのきっかけは、やはりアロマが好き、興味があるという答えが一番多かったです。皆さん初対面なのに、わきあいあいの雰囲気で作業スタート。これもすべては、ユズのおかげでしょうか―。
皮を向いたら蒸留作業へ
精油抽出に使うのはゆずの果皮のみ。たくさん皮をむいて、やや疲れが見え始めたころ、部屋中はユズの香りで包まれました。いよいよ蒸留作業へ入ります。ユズ精油の工程は専用の機器で圧力を加えて熱し、水蒸気を冷却すること。
収穫からスタートし、皮むき、そして蒸留作業まできました。自分たちの作業がカタチになっていく過程を見つめる参加者たちもうれしそうです。
町のことも好きになってほしい
作業している寄地区は町の中心部から30分以上かかる山の中。緑にあふれ、どこか懐かしい風景が広がっています。駅から路線バスでやってきた参加者たちは「すごい山の中だと思いながらも、ワクワクしていました」「想像していたよりも近かったです」「駅前とは全く違う、いろんな魅力を同じ町で味わえていいですね」など様々な感想を漏らしていました。
- 中には「次のイベントも絶対来たい!」と話すなど、さっそく松田ファンになってくださった方もいました。
地元住民との交流で町の暮らしをヒアリング
この日は寄地区の住民の方もたくさん集まってくださいました。地域での暮らしぶり、四季の移り変わり、買い物など、ランチをともにしながら、それぞれが記者になったように住民の方々にいろいろな質問をぶつけていました。
きっと興味を持ってくれたのでしょう。思い出が皆さんを通してたくさんの人に広まり、再び訪れてもらえるとうれしいですね!
魅力はいっぱいですよ
今回はユズ精油ができるまでの企画でしたが、ロウバイ、さくら、登山、釣り、キャンプなどまだまだ魅力はいっぱいです。これで終わりではなく、これをきっかけにして、継続的につながってくれる人が増えてくれることが望まれます―。町もいろいろな企画を用意しているので、フェイスブックやインスタグラムなどの各種SNSや町公式サイトをチェックしてみください。