丹沢の山々が育む豊かな自然と美しい里山の風景が広がる神奈川県足柄上郡松田町の寄(やどりき)地区。東名高速道路・大井松田ICから約10分とアクセス至便な地にありながら、ノスタルジック全開の街並みは知る人ぞ知る神奈川の秘境です。
満開もよし、丸々としたつぼみもまたよし
2千人ほどが暮らすこの地区が1年でもっとも賑わうのが、早春の1月から2月で、全国から約2万5千人の観光客が押し寄せます。皆さんのお目当ては2万本にも及ぶ日本最大級のロウバイ園。
写真では伝わらない辺り一面の甘い香り、異空間の魅力は現地で
約1万3千平方メートルの園内は黄金一色。一周30分〜1時間ほどと、距離がちょうどいいのでワンちゃんと楽しむ方も多いです。辺り一面に甘い香りが漂いそこはもはや異空間と言って良いでしょう。
- ポイント 冬は空気が乾燥しているので、雲一つない真っ青な空と出会うチャンス!そして、この青空と黄金と蝋細工のような繊細な花型の組み合わせこそが、最高にフォトジェニックなんです!!
始まりは250株、地域住民が創り上げた名所
このロウバイ園は今から15年前、地元住民が町おこしのために休耕地を開墾し、地元の中学生が卒業記念に250株のロウバイの苗を記念植樹したのが始まりです。
ほかの花が咲かない時期にロウバイが咲くことから、将来の集客を期待し、地元住民が毎年少しずつ植え足して、現在の規模に成長しました。
- 取材メモ ふるさとを想う住民たちの心意気が創った場所。山奥からの花の便りは口コミで全国へ広がり、町によれば「最近では海外からのお客様をお迎えすることも増えている」そうです。
食べ物やおみやげもいっぱい、「選べる」が楽しい!
景観以外の楽しみと言えば「食」。周辺では地域のお母さんたちが切り盛りする食堂が大変好評です。
地場産品をふんだんに使用した特製あったか豚汁や地元酒蔵の酒粕を使用した甘酒、川魚の囲炉裏焼など、ここならではのメニューが並びます。佃煮や朝どれ野菜などのお土産も色々。選ぶのも楽しそうです。
取材後記
少子高齢化は県西部でも顕著で、地元の中学校は平成の終わりとともに閉校となりました。それでもこのロウバイ園は、誕生経緯も含めて地区の希望の光の一つ。
地元の若手が協力し自然体験プログラムを提供するなど、新たなコンテンツ作りに取り組んでいます。かつて中学生が植えたロウバイは、今もきれいにその花を咲かせています―。