時宗美術と歴史を同時に知ることができる特別展「遊行寺の什宝(じゅうほう)」が同寺境内の遊行寺宝物館で始まった。2万点を超える同寺が保管する史料の中から、国指定重要文化財などの47点を厳選し展示している。2月12日(月)まで。
鎌倉時代に全国を遊行した一遍上人によって開かれた時宗総本山の同寺。長い歴史のなかで集められた神仏像や経典、絵巻物などが保存されており、宝物館では年に5回の企画展で史料を公開している。
テーマは「什宝」
今回は、武家や公家などから寄進されたものを中心に、「什宝」というテーマの通り、同寺が宝として秘蔵してきた貴重な史料が並ぶ。
国指定重要文化財では、南北朝時代に描かれた肖像画の傑作と名高い「絹本著色後醍醐天皇御像」をはじめ、室町時代の作である「絹本著色一向上人像」を展示。重要美術品である平安時代の「色紙金字阿弥陀経(蝶鳥経)」では、経の上下に舞う蝶と鳥や、金を用いた流麗な筆遣いを間近に見ることができる。
この他にも、南北朝時代の「紙本著色一遍上人縁起絵(甲本)第二巻」では、当時の人々の暮らしが江の島とともに描かれている。
同寺と縁の深い徳川家の史料もあり、「徳川家康二十将像」は、二十将像のなかでも初期の武将が並ぶ貴重なものだという。また、徳川家の家紋である三つ葉葵が使われた「黒漆塗葵紋散箪笥」や「黒漆塗葵紋文箱」なども当時の息遣いを現代に伝える。同館の遠山元浩館長は「遊行寺の名宝の数々をぜひお楽しみください」と話す。
開館は土・日・月・祝日の午前10時から午後4時30分(入館は4時まで)。入館料600円、中学生以下300円。
特別展についての問い合わせは同館【電話】0466・22・2063。