元和元年(1615)年に曹洞宗寺院として開山し、横浜市鶴見区の矢向、江ヶ崎、川崎市の小倉などの人々の安らぎの場所となっている曹洞宗・寿徳寺。廣瀬良弘住職は、駒沢大学の学長を務めた歴史学者でもあります。副住職はじめ寺内の僧侶も、修行の後、大学の非常勤講師などをつとめながら、住職とともにお寺を支えています。
- 今回は廣瀬住職に法事・法要などの仏事について聞いてきました。
法事(ほうじ)は人間故にできる尊い修行、感謝のあらわれです。他の動物にはできないことと言われています。法事とは広く仏教行事のことを指します。お盆やお彼岸の行事も広くいえば法事の一つだそうですが、今回は亡くなった方のご供養をおつとめする法要の日のこととして取材してきました。
法事のことを追善供養や年回供養、年忌供養とも呼ばれます。亡くなって1年目、一周忌からの法事は「年回」と呼ばれるそうです。宗派や土地の違いにより異なることはありますが、葬式が終わると下記のような順序で法事をおつとめすることが一般的とされています。
忌日法要
以下で紹介する法要は忌日法要 と呼ばれ、亡くなった日を「忌日」とし、忌日から7日ごとに行う法要です。別名と、法要を司っていると言われている仏様の名を紹介いたします。
初七日(初願忌 不動明王)
亡くなった日を入れて7日目におつとめします。近年では縁の深い方々が集まっている葬式の後におつとめすることもあるようです。その後本来であれば7日ごとに二十七日(14日)、三七日(21日)、四七日、五七日、六七日、七七日と49日までおつとめしますが、今日では初七日と四十九日のみをおつとめすることが一般的です。
四十九日(七七日忌・大練忌 薬師如来)
亡くなった日から49日目におつとめします。この日のことを満七日、満中陰、七七日とも言うそうです。この四十九日で「忌」が明けて「喪」がとれることから「忌明け」の法事をおつとめします。なお、忌明けの法事を早めて三十五日につとめることもあります。近年では49日の少し前のみなさんが集まりやすい土日などにあわせて行われることが一般的です。
年回法要
次に紹介するのは年回法要と呼ばれる、故人が亡くなった命日と同月同日に行う法事です。
一周忌(小祥忌 勢至菩薩)
亡くなった日から、ちょうど1年目の同月同日の祥月命日が一周忌となります。
三回忌(大祥忌 阿弥陀如来)
三回忌のほかに、七回忌、十三回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、三十七回忌とそれぞれ亡くなった年から数えた祥月命日に法事をおつとめします。たとえば、三回忌は別名「大祥忌」というなどそれぞれの法要に意味があります。
さらに丁寧なおつとめだと、五十回忌の後50年毎に法事を行うそうです。無事に法事を行うことができることはご先祖様、子孫にとってもありがたいことだといいます。
法事のお布施について
お布施という言葉は、供養をつとめた僧侶に来する金銭的な御礼として今日では一般的に用いられています。道元禅師は「自らの力をわかつなり」と言い、相手のためになる善行を行う広い意味でも用いられていました。例えば、困っている人のために、橋を作って川を渡れるようにしてあげることなども広い意味では布施の形だったそうです。とはいえ、法事のお礼としてお気持ちでお金を包むことが一般的だそう。
法事のお布施もお寺や地域によって違うので、直接お寺に聞くか、地域の世話人や総代などに聞いてみるのが良いそう。寿徳寺やその近隣の横浜・川崎では5~10万円程度をお気持ちで包む場合が多いようです(ただし、お寺との関係や法要の内容によって3~10万円、あるいはそれ以上のこともあるようです)。
「わかりやすい法事」を行う寿徳寺
寿徳寺では忌日法要と年回法要の両方を行っています。「わかりやすい法事」を目指す同寺では法事の前に、御焼香の仕方・意味などを説明します。お経も一般の人からするとわかりにくいものですが、代わりに法要の後に必ず法話を開いて、法要の意味や仏教の教えを説明します。また、寿徳寺では動物供養も行っています。
寿徳寺は、横浜市鶴見区の鶴見線矢向駅から徒歩13分ほどの住宅街の一角にあります。川崎との市境に近く、川崎駅や武蔵小杉駅からのバス便もあり、バス停から徒歩1分の好立地にあります。また、新川崎駅も近く、タクシーで5分ほど。後々のお参りも考えると大変便利な場所です。墓地も平地にあり、車イスでのお参りも可能です。