この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです
今回は、脳卒中(脳血管疾患)をお持ちの方が歯科治療を受けられる際に留意していただきたい点についてお話します。
脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞と脳の血管が破れる脳出血、くも膜下出血があります。原因の多くは高血圧ですが、不整脈や糖尿病、喫煙、肥満なども危険因子とされています。脳卒中の症状は突然現れることが多く、典型的な症状は、片方の手足が動かなくなったりしびれる、顔の半分が動かなくなったりしびれる、ろれつがまわらなかったりうまく言葉を発することができない、という、「腕」「顔」「言葉」の症状として現れます。
そのような症状が出現したら一刻を争うので、すぐに救急車を呼び、適切な治療を受ける必要があります。治療は脳梗塞であれば血液をさらさらにする薬を用いることが多く、脳出血は脳に溜まった血を出すという治療が行われます。
脳卒中を患った方の中には、体の麻痺や飲みこみの障害が残ることがありますが、一般的な歯科治療は問題ありません。いつもお話ししているように飲んでいる薬を自己中断しないように気をつけましょう。また麻痺によって通院が困難な方はバリアフリーであったり、訪問診療を行っている医院に相談してみるのも良いでしょう。当院でも訪問診療を行っておりますので通院できないからと諦めずにお気軽にご相談ください。