大磯町郷土資料館(大磯町西小磯446の1)で6月16日(日)まで、春季企画展「朝鮮通信使がやって来た!〜絵本原画と古文書に見る朝鮮通信使〜」が開催されている。観覧無料。
朝鮮通信使は室町時代から江戸時代にかけて、朝鮮から日本に訪れた外交のための使節団。大磯とのゆかりは江戸時代からで、使節団が船で大阪に上陸し、京都から東海道を使って江戸を目指した際に、大磯宿が休憩場所として利用された。
兵庫県の市民団体が展示協力
今回の展示では、朝鮮通信使の寄港地の一つだった兵庫県たつの市立室津海駅館(廻船問屋「嶋屋」の建物)を拠点に文化活動を行う市民団体「嶋屋」友の会が2021年に出版した「絵本朝鮮通信使」の原画を中心に展示。通信使たちがどんな経緯で、何を目的に海を渡り交流を繰り返したのか、鮮やかな原画や古文書とともに迫る。
展示では正徳元年(1711年)に通信使が来た際に、大磯宿で接待を担当した明石藩の「朝鮮人御馳走日記」に基づき、「朝鮮人御馳走御用」を命じられた藩の対応を時系列順に紹介。また、宝暦14年(1764年)に使節団が訪れた際、江戸からの復路で提供された食事を記録した「朝鮮人帰国献立帳」も展示されている。天和2年(1682年)の通信使についてを記録した文書には、大磯の「妙輪寺」で「長老」という役職の人が休んだという記述も残されており、当時の大磯宿の様子を垣間見られる。
同館学芸員の富田三紗子さんは「朝鮮通信使の目的は、時代によって異なり、初めは豊臣秀吉による朝鮮出兵の敗戦処理のため、その後平和外交の役割を担っていった」と話す。ある年には約半年で接待の用意を整えているといい、「これだけの準備を短期間で終える力があったことに驚いた。『馳走役』という役目があったことから、おそらく朝鮮通信使だけでなく、琉球や朝廷など様々な接待を日常的に行なっていたことで、慣れていたのでは」と富田さん。「大磯で明石の資料を見る機会はなかなかない。ぜひ足を運んでほしい」と話していた。
開館は午前9時〜午後5時。毎週(月)休館。6月16日(日)には絵本作者と研究者のトークイベントも実施。午後1時30分〜午後3時30分。申込不要。