「自家焙煎珈琲ちとせ105」は、湯河原町と熱海市の市境、千歳川沿い。湯河原から千歳川の大橋を渡り、少し坂を上ると「泉駐在所」のとなり(泉本区バス停前)に、「珈琲焙煎所」と書かれた看板と赤い1967年式ALFA ROMEOが目を引く店舗が見えてきます。場所はこちら/静岡県熱海市泉127ー19(Googleマップ)。
2024年1月にオープンしたばかりとのことですが、早くも「美味しい珈琲豆を購入できる」と地域でも話題のお店です。
店内に入ると、珈琲の香りが広がります。「ちょうど今から焙煎を始めるところなの」と優しく迎えてくれたのは、オーナーの小原美恵子さんとご主人の小原大二さん。
長年OA事務として仕事をしてきた美恵子さんと大手製薬メーカーで臨床研究の企画・管理をしてきた大二さん。10年ほど前に海・山・川の豊かな自然と、ゆったりとした時間の流れるこの場所を気に入り、終の棲家として移住。
「地域のコミュニティの中で生きていくことを考えたときに、夫婦で好きだった珈琲を提供できる場にしたい」と自家焙煎珈琲の専門店をオープン。
直火焙煎にこだわった、データに基づく独自の焙煎で美味しさを再現
同店の特徴は、直火式焙煎。豆の入ったドラムを回転させ、炎で直接加熱する直火焙煎ならではのひと味もふた味も違う一段階上の「コク・酸・香り・甘み」が特徴。一方で炎の温度がダイレクトに伝わるため、操作も細かい調整が必要になってくるため、導入してる店はごくわずか。
珈琲好きの方で、「美味しい」と思った豆が、次に購入した時に味が違う…と感じた経験がある方も多いと思いますが、この焙煎方法の難しさが原因のひとつ。小原さん夫妻も「なぜいつも味が違うのだろう」と疑問に思い、自分で焙煎を始めたことがきっかけだったといいます。「同じ美味しさを提供できる店にしよう」そんな思いから挑戦が始まりました。
「同じ豆、同じ品種、同じ焙煎なら理論的には同じ味になるはず」と、なぜ美味しくなるのか、なぜまずくなるのかを突き止めるため、「焙煎の時間や温度、豆のハゼる温度・時間の長さ」などを過去5年間にわたり記録。その過程は、まさに実験!。臨床研究さながらのデータをもとに、豆のポテンシャルを生かす最高の焙煎方法を確立させました。
見て、聞いて、香りを感じて、データで管理する焙煎
朝いちばんで始める焙煎は、直火式焙煎機を温めることからスタート。パソコンにつなぎ、タイミングを見極め生豆を投入。過去のデータと照らし合わせながら、1分、2分と熱を加えていきます。炎が揺らめき、わずかに豆がハゼる音を聞き取り、さらに加熱。
2段階目のハゼるタイミングを見計らい「今!」と冷却槽で豆を冷やしていきます。データと照らしあいながら分刻みで進める焙煎は、見ているこちらも緊張感が高まりました。焙煎が終わると、数値を確認。「今日は理想的な焙煎」とパソコンに目を落とすと、グラフの一致に驚きました。
これが同じ美味しさを再現できる「ちとせ105」の技術!焙煎前の豆は、保管温度・湿度を一定にするためにオーダーメイドの杉箱で保管するという徹底ぶり。焙煎した珈琲豆は、ガスが抜けた3~4日目が美味しいとか。
丁寧に焙煎した豆を、美味しさそのままに提供
見本としてガラス瓶が並ぶ店内では、ブラジルやグァテマラ、マンデリンやオリジナルブレンドなど常時10種類程度のスペシャリティコーヒーを中心に焙煎豆を販売。200g1,400円~1600円ほどで購入できます(ブルーマウンテンは予約販売200g3,600円)。
「珈琲豆はとってもデリケート。一度に大量に焙煎するのではなく、必要な分だけ焙煎していく」、これも同店のこだわりです。熱海・湯河原へ旅行した際のお土産としてもぴったり。
- 店内ではもちろんですが、通販サイト(https://chitose105.handcrafted.jp)からも購入ができます。全国にも発送可能!
また、新商品として、最高の状態でドリップした「数量限定オリジナルブレンドアイスコーヒー」(1000㎖ 900円)も完成。お手軽に本格的なアイスコーヒーが楽しめます。
カフェで味わってからの豆選びも
カフェも併設されているので、味わってから豆を購入するのもオススメ。「豊かな香りが鼻腔に広がり、クッキリとした味わい。でも後味はスッキリ」と今までの私が飲んできた珈琲はなんだったのか…と思うほど豊かな味わいです。
ハンドドリップの仕方などは、同店のInstagram(https://www.instagram.com/caferoasterchitose105/)でも紹介。初心者でも美味しく淹れられます。
La Marzoccoで淹れる本格エスプレッソも
世界的に有名なイタリアのエスプレッソマシーン【 La Marzoccoラ・マルゾッコ 】があり、本格的なエスプレッソも提供しています。
実はガレージ?店名に込めた思い
店舗は自宅ガレージを改装して作られおり、「看板娘」の1967年ALFAROMEOの車庫。夜には、壁を取り外してガレージに変身。店名の「ちとせ」は千歳川、「105」は車の型式なんだとか。車の様子をSNSにアップすると「イタリア人からのメッセージが届く」と笑顔。珈琲とイタリアを愛する「自家焙煎珈琲ちとせ105」。ぜひ訪ねてみてくださいね。
住所/静岡県熱海市泉127ー19(Googleマップ)