相模原市南区にある北里は「きたざと」。一方北里大学病院や北里大学は「きたさと」と濁らない。地元でも正しく読み分けている人は多くはないのでは。
学校法人北里研究所北里柴三郎記念博物館の森孝之さんは「『北里』という苗字は柴三郎の出身地である熊本県阿蘇郡小国町北里の地名からきています。地名は『きたざと』と濁り、柴三郎も初めは『きたざと』としていました」と語る。
ドイツへ留学に行くと同国の「ザ」の発音の表記は「ZA」ではなく「SA」。このため北里は「KITASATO」と綴った。英語圏の研究者たちと交流を重ねていくと「キタサト」と発音されるように。次第にこれが広まったという。森さんは「『KITAZATO』で届いた宛名を柴三郎自身が『Z』から『S』に書き換えた書簡もあります。キタサトでいいと本人もなったのでしょう」と推察する。
北里柴三郎の名前からとる北里大学や北里大学病院は濁らず、地名は濁るようになったという。