横須賀市田浦町1丁目にある「旧市営田浦月見台住宅」の再生に向けた取り組みが動き出した。横須賀市と連携して同地の活用を行う㈱エンジョイワークス(鎌倉市)は、空き家となっている既存建物を「店舗兼住居」もしくは「住居専用」として賃貸入居者を募っており、7月21日に実施した現地見学会には市内外から関心を寄せる約100人が集まった。
同住宅は、JR田浦駅から徒歩約10分に位置し、「の」の字を描いてカーブする急な坂道をのぼった先の高台にある。1万3653㎡の広大な敷地に23棟58戸の平屋建て住宅群が並んでいる。長浦湾を望む眺望の良さからインターネット上では「天空の廃墟群」とも呼ばれている。
元々は市が1960年に建築した市営住宅だったが、建物の老朽化などを理由に2020年に廃止した。市はその後、同住宅の再生と活用を行う民間事業者を公募。23年に同社が選定された。
古き良きを生かす
同社は古いものに価値を見出しながら創造的な生活を送りたい人をターゲットに「ヴィンテージ&クリエイティブ」とコンセプトを打ち出し、リノベーションを進めている。このほかに入居者が改装することも可能としている。
「フード横丁」や「アーツ&ヴィンテージ」といった5つの入居エリアを設けており、住宅群宅群の南側に位置する「集会所」では、共益費で運営するサウナなどを設置予定だ。管理棟には同社の社員が滞在し、共用部の清掃などを行う。
専有面積は約29~37㎡で賃料は6~7・5万円を想定。25年の4月から7月に物件引き渡しを予定している。
小さな町で相乗効果
作業場兼住居を探して他県から見学会に訪れた陶芸家の女性は、「アトリエを別で借りる必要がなく資金面でありがたい。クリエイティブ志向の人間と軒を並べるのはいい刺激にもなると思う」と入居に前向き。同社によるとすでに数件、入居の仮申込があったという。
同社は野比海岸公園駐車場の指定管理者として、同地にフォトスポット「#ジハングン ヨコスカ」も生み出している。