逗子在住のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者・畠中一郎さんが代表理事を務め、ALSなどの難病の人たちの支援活動を行う「一般財団法人すこやかさ ゆたかさの未来研究所」が、寄贈された救急車を改装してALS患者に無償で貸し出し、外出の機会を創出するプロジェクト(PJ)に乗り出した。PJ実現に向けクラウドファンディング(CF)にも挑戦している。 今年5月、同財団に1台の救急車が寄贈された。もとは畠中さんの知人である山口修さんの両親が横須賀市の衣笠病院に寄贈した車両。13年間で22万キロメートルを走り、役目を終えた同車両の用途を思案していたところ、同財団の活動に共感し、ALS患者の役に立てればと再度寄贈をした。
ALS患者が長距離移動するには、電動車椅子の重量や人工呼吸器の電源確保といったさまざまな障壁が生じる。そのため旅行に行くなどの「出かける楽しみ」を諦めざるを得ない人が多くいる。「ゆめバス」PJは寄贈された救急車を活用し、こうした課題をクリアにしてALS患者の移動をサポートしようというもの。
畠中さんは「患者の人たちと『いろいろな制約があって事実上、移動は難しい』といった話をしていたタイミングで、『救急車を使わないか』というお話をいただいた。これはやるしかないと思いました」とPJのきっかけを語った。
「車両は無償で貸し出し、利用後にレポートを提出してもらう。他の人がそれを見て『自分も外出してみよう』と前向きになるきっかけになればと思う」と畠中さん。
救急車は特殊車両でそのままでは使用できず、赤色灯やサイレン、酸素ボンベなどを外さなけれならない。また、車いすを持ちあがるリフトを付けたり、ヘルパーや家族が乗車するスペースを作るなどの改装費もかかるため、資金作りのためにCFに挑戦中(CFサイト、レディーフォーで11月17日㈰まで)。
実際の稼働は2025年の春ごろになる見込み。
同財団090・2629・9344