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【介護TOPIC 】やりがいも質の高いサービスも

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取材に応じる川島会長

 団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になる2025年。介護のニーズがさらに高まることが予想される中、神奈川県高齢者福祉施設協議会藤沢地区福祉施設連絡会の川島達郎会長(社会福祉法人永寿会)に介護業界の課題と取り組みについて聞いた。

介護人材の確保が課題になっています。

 「介護施設などで働く意欲がある方に資格取得から就労あっ旋までを支援する取り組みなどを行っています。また、全国でも特に神奈川県は外国人の介護職の就労を推進してきました。EPA(経済連携協定)に基づき、2008年から800人を超えるインドネシア人・フィリピン人・ベトナム人の介護福祉士候補者を受け入れています」

外国人の方たちの働きぶりはどうですか。

 「真面目で一生懸命ですね。施設利用者さんとのコミュニケーションも良好です。ある程度の経験を積んだら母国へ帰ることになるのでしょうが、キャリアプランをしっかり考えてあげれば、日本に残ってくれるのではないかといわれています。頑張って資格を取得して活躍すれば、外国人の方も役職に就くことができるというように。定着を促していくために、キャリアアップのサポート制度の整備や共存のコミュニティーを地域に築いていくことも必要だと思います」

業務の効率化は進んでいますか。

 「 ICT(情報通信技 術 )の活用では、『眠りSCAN』という機械があります。センサーベッドが睡眠中の利用者さんの寝返りや呼吸数 、脈拍数などを測定してくれます。職員はパソコンやタブレ ットで測定データを確認したり 、バイタルの状態や体調の変化などを把握したりすることができます。でも、介護の仕事というのは、全てを機械やパソコンに頼れるわけではありません」

介護職の方の負担軽減や働きやすさは。

 「今まで介護記録の作成などに割いていた時間と労力を、利用者さんと接する仕事に振り分けたいところですが、介護報酬の改定によってやらなければいけない研修や会議が増えたので 、利用者さんに対する時間はあまり変わっていないのが実情です。介護業界に入 って来てくださる方を増やしていくためにも、働き方改革も進めています。有給休暇の消化率は悪くありません。給料は上がっていますが、他の業種と比べてまだまだ差がある。もちろん、業界団体として今後も介護士の報酬アップなどの処遇改善を求めていきます」

介護の仕事の原動力は何ですか。

 「 じかに人と接して、感謝していただけるところにやりがいを感じている方が多いのではないでしょうか。私自身は、戦後の日本を支えてくれた高齢者の方たちをちゃんと介護してあげたいという思いでこの仕事を続けてきました」

昨年は能登半島で地震と豪雨災害が起きました。災害対策は。

 「高齢者福祉施設では災害に備えたBCP(業務継続計画)を策定し、訓練を実施しています。施設利用者の方々は自力で動ける方が多くありませんので、災害発生時には施設からどこかへ逃げるというよりは、垂直避難で建物の上の階へ移る。そういう行動を取ることになると想定されます。私のところの特別養護老人ホームは福祉避難所 (二次 )として、指定避難所での生活が難しい要介護3以上の高齢者を市の指示で受け入れることになっています 。受け入れに応じられる人数や防災用品の準備などの具体的な対応策について、市 と協議を重ねています」

市民の皆さんへのメッセージを。

 「医療と介護の連携推進、感染症と災害への対応力強化など取り組むべき課題はさまざまあります。新型コロナウイルス感染症が拡大する前までは若い方たち学生の職業体験を受け入れていました。要望があれば、ぜひ再開したいと考えています 。今年も利用者さんとその家族に親身に寄り添いながら、仕事のやりがいを持って質の高い介護サービスを提供できるように努めていきます」

住所

神奈川県藤沢市

公開日:2025-01-01

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