この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです。
今回は親知らずについてのお話しです。
親知らずが腫れたり痛んだりすると、「抜かなければいけないの?」と不安になる方が多くいらっしゃいます。実際、親知らずは斜めや横向きに生えてくることが多く、細菌が繁殖しやすくなるほか、歯ぐきに炎症を起こしたり、自覚症状がなくても知らず知らずのうちに他の歯へ悪影響を及ぼしていることがあります。そのような場合は抜歯が勧められます。
一方で、まっすぐ生えていて清掃がしやすい場合や、しっかり噛んでいるなど、抜歯が不要なケースもあります。将来的なリスクを歯科で評価してもらうことが大切です。
抜歯にはリスクも伴います。下の親知らずは神経に近く、術後に唇などにしびれが出ることがあります。上の親知らずは副鼻腔(上顎洞)に近く、注意が必要です。
抜歯後は、腫れや痛みが3日から1週間ほど続くことがあります。ほおにアザのような変色が出ることもありますが、通常は仕事を休むほど寝込むことはありません。ただし、清掃不良や免疫力の低下があると、痛みが長引くこともあります。
親知らずの抜歯は口腔外科の基本手術です。根が複雑に曲がっていたり、血管に近接していたりすることもあるため、安全のためにも歯科口腔外科を標榜する歯科医院での処置をおすすめします。気になることがあればかかりつけの歯科医院へご相談ください。