高津区久末の住宅街に、障がいのある人たちの自立と社会参加を支える大切な場所があります。それが、NPO法人あかつき作業所の「第一作業所」です。
鷹巣橋バス停から徒歩数分の立地にあるこの作業所は、さまざまな障がいを持つ人たちが安心して社会とつながるための拠点となっています。1981年11月、たった1人の利用者と企業からの注文を受けてスタートした小さな芽は、40年以上の時を経て、多くの仲間が集い、共に歩む温かい作業所へと成長しました。
現在、一緒に作業に取り組む利用者を募集している「第一作業所」の魅力や実施している作業について、スタッフの三上聡さんと三上テル子さんにお話を伺いました!
歴史と目標
あかつき作業所の歴史は、地域のニーズに応え、障がいのある方々が社会とつながる機会を創出しようという強い思いから始まりました。1981年の開設以来、利用者の増加に伴い、1987年には川崎区に第二作業所を増設するなど、その活動は着実に広がりを見せます。
そして、2009年からはNPO法人として活動を展開し、「障がい者の地域生活の自立を促進、及び障がい福祉サービス事業、地域生活を支援すること」を目標に掲げてきました。
多様な仲間たち
第一作業所では、多様な利用者の方々を受け入れています。それぞれに個性や特性はありますが、彼らは互いを深く理解し、困っている仲間がいれば自然と手を差し伸べ、助け合いながら日々の作業に励んでいます。
ここにあるのは、単なる作業の場ではなく、利用者一人ひとりが安心して自分らしくいられる「居場所」であり、共に成長し、喜びを分かち合う「仲間」との絆が育まれるコミュニティなのです。

インタビューに答えてくれたH.M.さん
施設の利用者で、作業のリーダー的なポジションを担うH.M.さん(仮名)もその1人。あかつき作業所を利用し始めてから、もう20年になるH.M.さんは、「当初は大変だと感じたこともありましたが、だんだん作業が面白くなってきました」と振り返ります。

丁寧に作業に取り組む
仲間が手助けしてくれることで信頼が生まれ、作業に「やりがいがあり、楽しい」と感じているそうです。H.M.さんは、「仕事が出来る人、出来ない人という括りが一切ない」と語り、第一作業所が「気持ちに合わせて働かせてくれる」場所であることの重要性を強調します。
日常の作業から生まれる社会性
作業所の1日の流れ
9:00~9:10 ミーティング(前日及び当日の作業内容の確認)
9:10~10:00 作業
10:00~10:15 お茶休憩
10:15~12:00 作業
12:00~13:00 昼休憩
13:00~15:00 作業、片付け
第一作業所の1日は、月曜日から金曜日の午前9時から午後3時まで。始業後のミーティングで、その日の作業内容や連絡事項を確認した後、作業を始めます。
主な作業内容は自動車部品の組み立てや清掃、調整作業。
また、パソコンの静電気防止部品の組み立てや、ゴムやワッシャーなどの部品入れ、企業から依頼されるダンボール箱の組み立ても重要な作業の一つです。これらの作業は、企業からの信頼に応える品質が求められるため、皆さん真剣な表情で向き合っています。
作業の途中には、お茶の時間や昼休憩が設けられ、仲間との談笑のひとときも大切にしています。メリハリのあるスケジュールの中で、利用者の方々は集中力や持続力を養い、チームで協力することの大切さを肌で感じています。
これらの作業は、単に「仕事をこなす」だけでなく、利用者の方々にとって大きな意味を持ちます。自宅に閉じこもりがちな日々から一歩踏み出し、定期的に外出して体を動かすことは、心身の健康維持につながっています。
また、第一作業所での活動は、障がい者が社会性を身につけ、地域社会への参加を促す重要な役割を担っています。作業を通じて社会と接点を持つことで、「誰かの役に立っている」という自己肯定感を得られます。企業からの依頼に応えることで、責任感や達成感を味わい、規則正しい生活を送ることで、生活能力の向上にもつながっています。そして何よりも、共通の目標を持つ仲間と共に汗を流し、互いに支え合うことで、社会とのつながりを感じ、生きがいを見出しているのです。
地域と共に歩む作業所を目指して
三上テル子さんは、NPO法人あかつき作業所・第一作業所がこれからも障がいのある方々が地域社会の中で自分らしく輝けるよう、支援を続けていきたいと話します。そして、「利用者の皆さんが日々懸命に作業に取り組み、着実に成長していく姿は、私たちにとって何よりの喜びであり、活動の原動力です」と続けます。
また、三上聡さんは「第一作業所は、この地域に暮らす障がいのある方々にとって、なくてはならない存在でありたいと願っています。彼らが社会とつながり、自立した生活を送るためのサポートを継続していくためには、地域の皆様のご理解と温かい眼差しが不可欠ですし、障がいのある方々が地域社会で活躍する場を増やすことにもつながります」と話します。
- 最後に2人は「第一作業所では、見学も随時受け付けています。興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度ご訪問ください」とよびかけました。