小田原周辺の課題となっている、タクシーや地域交通の不足解消に向け、日本版ライドシェアの運行が6月11日から始まった。これにより神奈川県全域でサービスが開始されることになり、市やタクシー関係者は交通の新たな選択肢として期待を寄せている。
日本版ライドシェアは、地域交通の担い手や移動手段の不足を解消するため、2024年3月に創設された。一般ドライバーが有償で乗客を運ぶライドシェアとは別に、「日本版」はタクシー会社が運行管理などを行い、事前指導を受けた一般ドライバーが自家用車で運送サービスを提供する仕組み。
交通空白地帯を補完
日本版ライドシェアは、(一社)神奈川県タクシー協会が導入を進めており、今回の小田原交通圏(県西地域2市7町※中井町は他交通圏)運行開始により、県内全ての交通圏でサービスが行われることとなった。県内全交通圏での運行は首都圏内で初めての事例となる。
11日は小田原市役所で出発式を実施。同協会の伊藤宏会長は「コロナ禍でタクシードライバーが減る中、地域の交通空白地帯を補うのがライドシェア。小田原交通圏でのスタートで実現した日本版の全県展開は東日本でも初めて。安全と快適、迅速なサービス提供に尽力したい」とあいさつ。
出席した加藤憲一市長も関係者やドライバーに感謝を伝え、「市内はインバウンド増加でタクシー不足が日中から起きており、交通空白地域の広がりから生活の不便も増している。ライドシェア導入で移動手段の選択肢が増えるのは待ち望んでいた」と期待を寄せた。式典ではテープカットの後、出席者がアプリで配車予約を行い、到着車両に乗り込み出発する様子も披露された。
小田原交通圏のタクシードライバーは5月末現在で約570人。10年前の約780人から減少する中、今回一般ドライバー10人が加わり新たなスタートを切った。