毎年秋に行われている「新磯ざる菊花見会」が今年で「最後」となる。花見会を主催する新磯ざる菊愛好会の会員の高齢化や近年の猛暑などが理由。例年の「お楽しみ」でもある花文字は「完」とし、17年の歴史に幕を下ろす。
地域の風物詩として、相模原市内外の人々を楽しませてきた新磯のざる菊。新磯地区を盛り上げようと近隣の酪農家・藤曲和美さんが中心となり、2009年からはじまった。
およそ750坪の段丘に赤や白、黄色の約1300株の花が咲く。見ごろを迎えると、浮かび上がる花文字も好評だ。13年の「第23回全国花のまちづくりコンクール」では団体部門で市内初の奨励賞に選ばれた。
かねてから菊を咲かせることに関心があった藤曲さん。新聞で南足柄市の園芸グループによるざる菊を見たとき、「新磯でもこんなきれいなものができたら」と思い立ち、同所と連絡を取り苗を分けてもらったことがきっかけだ。地元の仲間にも声をかけ、愛好会を結成。次第に新磯地区だけでなく、市内外にも評判が広がり、最も遠方では北海道からも見に来た人がいたという。
ここまで続けて来られたことについて、「見に来てくれた人に喜んでもらえるのが嬉しかった」と会員は口をそろえる。
風物詩またひとつ
そんな中、直面したのが会員の高齢化や近年の気候変動だ。4月から作業を開始、夏の間も手入れが必要のため、昨年などは高温で花が枯れてしまうこともあった。前回の終了後、今年を以て終わりにすることを会員で決断した。藤曲さんは「良いところで区切りをつけることが必要」とした上で、「最後だと思うと寂しい気持ちもある」と話した。
新磯地区では相模川の芝ざくらラインも管理を行う会の高齢化により、見られなくなってしまった(02年から21年)。地域の風物詩がまた一つ終わりを迎えることについて新磯観光協会の荒井優子会長は「長年続けてきたものの継承が大変ということを実感した。次世代に地域の活性化をつなげていくことが課題。イベントを通じて若い人たちにも新磯を知って欲しい」と話した。
ざる菊が見られるのは11月2日(日)から16日(日)まで。期間中は地元野菜や焼き芋の販売も行われる。式典が8日(土)の午前11時から行われ、勝坂はやし保存会や愛川高校の太鼓などの演奏がある。開花情報の問い合わせは安原さん【携帯電話】090・6516・7591(午前9時から午後3時)。
「来てくれた人に楽しんでもらって良い最後を飾りたい」と藤曲さんは来場を呼び掛けた。













