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お茶職人の原点は茶園づくりにあり【お茶・秦野特産品】

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お茶職人の原点は茶園づくりにあり【お茶・秦野特産品】
丹沢の雄大な自然に抱かれたお茶畑

急峻な山あいに連連と広がる、鮮やかな緑の畝。丹沢の雄大な自然に抱かれたこの地で栽培されるお茶は、県内第3位の生産面積と収穫量を誇ります。JAはだの茶業部に所属するわさびや茶園の山口勇さんに、お茶づくりのこだわりと秦野のお茶のおいしさの秘密を聞きました。

わさびや茶園の山口勇さん

「お茶を育てる上で大切なのは、温暖で適度な湿度と自然がおりなす日陰のある生育環境です」と山口さんは話します。丹沢山地のふもとに広がる秦野の茶畑は、これらの条件を満たす好適地として良質な茶葉を育んできました。

「名水のまち秦野」ならではのお茶づくり

山口さんが園主を務めるわさびや茶園は、代々続く老舗のお茶農家。店名が表すように、裏山を流れる湧水では明治時代からわさびを育ててきました。この清水は茶の芽を蒸す際にも使用され、「名水のまち秦野」ならではのお茶づくりに一役買っています。

良い生葉に必要な豊かな土壌

「いくら高い技術を持ってしても、生葉の 品格以上のものはできない」というのが山口さんの持論です。良い生葉を育てるための茶園管理は、同園のお茶づくりの原点。茶園には有機肥料のカヤをふんだんに投入し、良質なお茶の生育を支える豊かな土壌を生み出します。

「蒸し」と「揉み」の技術

茶葉の風味を最大限に生かすために欠かせないのが、「蒸し」と「揉み」の技術です。摘み取った茶葉は酵素の活動を止めるために速やかに蒸し上げますが、「原葉の特性によって浅蒸しから中蒸し、深蒸しまで蒸し加減も変わります。山あいで摘まれた茶葉は葉肉が薄めなので、深蒸しよりも浅蒸しの方が向いているんですよ」(山口さん)。粗揉や揉捻、中揉、精揉といった揉み込みの力加減によっても、お茶の出来は変わってくるといいます。

山口さんは「新茶は特に水分を多く含むので、時間をかけてじっくりと揉み込んでいきます」と説明します。さらに、数週間しか摘採されない一番茶のなかでも、最初の芽と終盤の芽では状態が全く異なるので、収穫のタイミングに応じた「蒸し」と「揉み」の塩梅が仕上がりを左右します。

お茶農家が教える おいしい新茶のいれ方
特有の香りと旨みを多く含む新茶は、渋みや苦みの少ないバランスの とれた味が人気です。 新茶特有の旨みを最大限に引き出すには、①湯呑に入れて②冷ましたお湯を③茶葉を入れた④急須に注ぎ、⑤じっくりと抽出するのがおすすめ。渋味成分のカテキ ンが抑えられ、香りも際立つお茶が楽しめます。

若い人たちにお茶の魅力を伝えたい

急須でお茶を入れる習慣が薄れつつあるなかでも、山口さんは「日本の伝統文化を守るためにも、おいしさにこだわったお茶を提供していきたい」と力を込めます。地域の園児と保護者を対象にした摘み取り体験に協力するなど、若い人たちにお茶の魅力を伝える活動にも積極的です。「親子でお茶摘みをしたという思い出が、いつか自然の大切さや農業の魅力を感じてもらうきっかけになればうれしいですね」と山口さん。連綿と続く秦野の茶業を後世に伝えるためにも、実直な姿勢でお茶づくりと向き合っています。

県内有数のお茶どころ
秦野市は、山北町と南足柄市に次ぐ県内3位のお茶どころとして知られています。JA はだの茶業部では、県内産のお茶の統一ブ ランドである「足柄茶」の普及をはじめ、良質なお茶の生産や生産量の増大、品評会へ の参加を通した加工技術の向上などに励んでいます。高齢化や後継者不足で荒廃が 進む山間部の農地活用など、秦野のお茶文 化を次世代に受け継ぐ活動に も力を入れています。

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公開日:2019-04-11

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