漫画を原作に2019年にアニメ化され、今年公開された劇場版も好調の『鬼滅の刃』(きめつのやいば)。登場人物の着る羽織の柄にも関心が集まっていますね。
実は、主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)の「市松模様」、鬼と化した妹・禰豆子(ねずこ)の「麻の葉」、主人公を助ける仲間・我妻善逸(あがつまぜんいつ)の「鱗」などの「鬼滅柄」は、小田原や箱根の街中の至る所で見ることができるんです!
そんなわけで、鬼滅ファンの編集スタッフたちが、公私混同の取材へ!
鬼滅柄は寄木細工の伝統模様に注目!
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善逸の鱗模様は脱皮を表し、厄を落とし再生するという意味
いち早く鬼滅ブームに便乗⁉したわけではなく、実は、この柄たちは言わずと知れた箱根の伝統工芸「箱根寄木細工」の模様なんです!
寄木細工は、江戸時代後期に箱根「畑宿」を中心に発展した多種多様な木で模様を作る工芸。技術を現代に受け継ぐ小田原市の伝統工芸士・露木清勝さん(66)と清高さん(41)親子は、「漫画に出てくる柄が寄木細工と同じと、職人の間でも話題になっていた」と話しています。
- 寄木細工には、日本の伝統模様として縁起が良い柄が採用されており、炭治郎の市松には「繁栄」、禰豆子の麻の葉と善逸の鱗は「魔除け」の意味を持っているそうです。中でも、鱗柄は箱根細工技能士の試験課題でもあり、「鱗を纏う善逸により親しみが湧く」と清高さん。
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お土産物の鉄板!箱根寄木細工の伝統的なカラクリ箱の「秘密箱」
物語の中には寄木細工で作られた「秘密箱」も登場。そう、刀鍛冶の里で上弦の鬼・玉壺(ぎょっこ)に勇敢に立ち向かう小鉄(こてつ)が、「これ俺が作りました」と言っていました。
鬼滅の刃「刀鍛冶の里」の舞台は箱根「畑宿」か!?
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箱根「畑宿」は刀鍛冶の里のモデル!?
一定の動作をしないと開かない秘密箱は、「箱のカラクリも、寄木細工も、10年以上かけないとつくれない職人技」とのこと。ということは・・・恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじみつり)ちゃんも温泉に入っていたし・・・「刀鍛冶の里って畑宿がモデル?」と考察が尽きません。
露木さん親子は「作者の吾峠呼世晴先生が、寄木細工に関心を持ってくれているとしたら光栄。子どもたちが伝統模様を知るきっかけになりうれしい」と話しています。
小田原・箱根には「鬼滅柄」がいっぱい
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早雲山駅を降りると・・・
小田原といえば、世界を代表するアニメ作品「機動戦士ガンダム」の作者、富野由悠季さんの出身地!箱根は「新世紀エヴァンゲリオン」の聖地なんです。
そして、今回「鬼滅の刃」が参戦とあって、世界中のアニメファンを虜にするはず。
まずは箱根ロープウェイの早雲山駅の駅舎。2020年にリニューアルオープンしたばかりで、寄席木細工をモチーフにした空間デザインが素敵ですね。登場人物の羽織の柄を探してみよう!
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ようこそ!小田原へ。禰豆子柄でお出迎え
小田原駅直結の地下街「ハルネ小田原」のエスカレーターの仕切りガラスには禰豆子柄!
- 麻の葉は手間なく育つことと、魔除けの意味がある▲を集めた柄で、赤ちゃんの産着などにも使われてきたそうです。
奥の柄は、水柱・富岡義勇(とみおかぎゆう)さんの亀甲模様に似ているような・・・。
小田原市には、クラスサインが箱根細工の小学校も!豊川小学校の6年1組は竈門炭治郎組。
- 市松は柄が途切れることなく続いて行くことから、事業繁栄や子孫繁栄の意味が込められているそうです。
そういえば、始まりの呼吸の剣士・縁壱(よりいち)さんが、「日の呼吸」を炭治郎の先祖に教え、竈門家で途絶えることなく代々受け継がれてきたというエピソードがありますね。寄席木細工から考察する鬼滅の刃、奥が深いぞ~。
こちらは禰豆子組。子どもたちの学習意欲も、爆上がりですね!
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みんな大好き!これで禰豆子ちゃんになれるよ
山で切り出した竹を、禰豆子風にしてみたよ!
小田原市国府津の交流スペースBLEND PARK(ブレンドパーク)で11月8日に行われたアップサイクルイベントには、たくさんの親子連れが参加。こんなイベントが身近にある小田原って面白いですね。
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細かいところまでキャラクターを再現
小児科医院にも鬼滅がいっぱい。小田原市中曽根の善ファミリークリニックの待合室には、YouTubeで作り方を見て看護士さんが折り紙で作ったキャラクターたちが!
小田原駅に新たなランドマーク!宇髄天元さんはもしかして風魔?
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江戸時代の宿場町を再現したミナカ小田原
12月4日にグランドオープンする「ミナカ小田原」。幽玄な灯に浮き出る木造建屋は、まるで「遊郭潜入大作戦」の舞台のように見えてくる・・・!? 屋根の上に音柱・宇髄天元(うずいてんげん)さんや炭治郎、善逸、伊之助(いのすけ)、さらには堕姫(だき)がいるような。しかも、後ろには市松模様のタワーも!!
そういえば、柱の出身地は東京周辺に集中していますね。忍びの天元さんの出身地は明記されていませんが、もしかしたら小田原の北条氏に仕えた風魔忍者の末裔?
いかがでしたでしょうか。勝手な想像が膨らんでますが、伝統工芸が今も息づく地域・小田原・箱根だからこそ、大正時代を舞台にした鬼滅の刃の世界観も映えますね。ぜひ、鬼滅柄を見つける旅に、派手にGoToしてみてはいかがでしょうか。
番外編!山北町に無限列車!?
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JR御殿場線「山北駅」下車1分の山北鉄道公園
小田原・箱根のすぐ近く、山北町には御殿場線の急勾配を牽引した日本最強の蒸気機関車が!
「うまい!うまい!」とお弁当をバクバク食べる、炎柱・煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)さんの声が聞こえてきそうな・・・。これは、無限に見ていられそうです。