一人十役 海外演劇祭受賞歴を持つ役者による現代版『マクベス』。シェイクスピア劇の舞台演出を人工知能が務めたらどうなるか——。
あらすじ
中央アルプスのとある山奥。選ばれし九名の野心溢れる若手俳優がシェイクスピア四大悲劇の一つ『マクベス』の公演に向け合宿を行った。ロンドン・グローブ座出身のプロデューサー瓜生歩による今作がいつも以上に注目を浴びたのは、世界初、人工知能を舞台演出に起用したせいだ。AI Hecateは各俳優の言動やSNSの記録、心拍や血流などを分析し、それぞれの性格に最適な方法を用いて配役への完全没入を演出した。そして嵐の夜、悲劇は訪れた。ある者は己が嫉妬に身を焦がし、ある者は無常の恐怖に気が狂い、またある者は愛ゆえに自ら悪魔の手先と堕ちたのだ。ついぞ実現することなく地上の泡と溶けた幻の公演、その血塗られた舞台裏をお話ししよう。