患者と寄り添い「後悔しない治療」目指す
日々の健康に欠かせない「食」。いつまでも好きなものを美味しく食べることは、心身の健康維持に欠かせない。その時に忘れてはいけないのが「歯」の健康。高齢者を中心に「ずれない、痛くない、よく噛める『いい入れ歯』」として注目されているのが「自由診療入れ歯」だ。
湘南でいち早く自由診療入れ歯に特化した治療方針を導入し、入れ歯治療6千件を超える、藤沢市にある ひらの歯科医院の平野哲也院長に、「自由診療入れ歯」に力を入れる理由と、「自由診療入れ歯」の特徴などについて話を聞いた。
患者さんに喜ばれる治療を目指して行き着いた入れ歯
―保険診療入れ歯との違いを教えてください
保険診療入れ歯は長年使い続ける想定ではないんです。わかりやすい違いは、使用できる材料が限られたもののため壊れやすかったりします。また、患者さんの口に合う細かい調整の対応が難しく、「痛い、噛めない、はずれる」理由となってしまうこともあります。
―自由診療を「オーダーメイド」と表現する歯科医院もあるそうですね
噛み合わせやお口の動かし方など細かく確認しながら製作し調整を行います。調整の回数も保険と自由診療は全く異なるんですよ。患者さんにかけられる時間も大きな違いです。
―平野院長が自由診療入れ歯に力を入れる様になった理由とは
元々大学では歯の欠損などを補う歯科補綴(ほてつ)学を専攻していました。高齢化が進む中で、何歳になっても美味しく食べ続けたいという患者さんの助けがしたいと考えていたからです。
一方、流れ作業にもなりがちな保険診療では、叶えられる患者さんの願いに限界があった。入れ歯が完成し装着していただいた時「大丈夫」という感想に違和感を感じても、その対応に充分時間を取れない時もあったんです。
患者に寄り添わずして、歯科医として満足する仕事は続けられないと考えました。
―ひらの歯科医院のプライドとは
患者さんが喜ぶ入れ歯を作りたい、という思いと、そのために重ねてきた努力は負けないという自負があります。
当院では「患者さんの気持ちに寄り添う」ことに特に力を入れています。自分の状態が一番分かるのは患者さん自身ですが、その不快感を理解し受け止め、説明し、信頼関係を築く所から始めています。
ー独自の入れ歯カウンセラーが好評ですね
当院では独自に「入れ歯カウンセラー」さんを導入しています。治療を開始する前に、患者さんの思いを聞き、質問に答え、不安を取り除く役目です。健康のことですから、不安から何度も同じ質問をされる方もいらっしゃいますが、何度も丁寧にお答えします。カウンセリング自体は無用です。カウンセリング後に治療をされないという選択肢を取られても構いません。
感染症対策として取り入れた電話でのカウンセリングも好評です。
高齢社会の希望の光として
―自由診療入れ歯が「高齢化社会の希望の光になる」と言われています
10年程前と比較しても高齢化率は高まっています。歯科治療もここまでの患者の高齢化を想定していないものも多く、例えばインプラントも骨の状態や、全身の健康状況によってできないケースもあります。自由診療入れ歯は、より広いケースをカバーできることから注目が集まっています。
お陰様で当院を「入れ歯の駆け込み寺」と称して下さる方もいます。「他院で無理だと言われた」「いくつかの歯科を巡ったがしっくりこなかった」という方や「家族が入れ歯で苦労している」といった方も、まずはご相談いただければと思います。患者さんの心からの笑顔の手助けができれば何よりの幸せです。
患者さんを家族のように思うから「後悔して欲しくない」と心から願う
患者さんの歯や入れ歯に対する悩みに挑む平野院長のもとには、思いを同じくするスタッフが集い、患者さんへ真摯に向き合っている。
同院の入れ歯カウンセラー、横山智美さんもその一人だ。
忘れられない『後悔した 「大丈夫」』と『心からの「ありがとう」』
横山さんには忘れられないエピソードがある。 急死した祖父との最期の会話が 『入れ歯が当たって痛い」というものだった。「保険診療で作ったものでしたが、これまで本人の強い要望がなく、特に困っているとは思っていなかったのでとてもショックでしたね」。
実際、家族を亡くしてから歯のケアのことで後悔する遺族は多いという。 入れ歯の使用具合に対する 「大丈夫」の言葉 は「我慢できるから大丈夫」という意味のものが少なくないのだ。
また、入れ歯を痛がる高齢者の食事のサポートは家族 にとっても決して楽なことではない。 同院来院者には、 家族からの相談がきっかけとなった人も多い。 「無理をした「大丈夫」より、心からの「ありがとう」を望んでいる家族は多いはず」と横山さんは微笑んだ。
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